まちや小(ぐわあー)

その先を曲がったら何があるのだろう、どきどきしながら歩く。そして曲がってみて気がついたこと・感じたことを書く。

思い込み

2008年03月18日 | Weblog
3月11日の読売新聞 茨城県版に「ヒ素、なおも基準の2000倍 神栖 汚染源除却 新年度に水浄化施設を設置し…」という記事が掲載された。
この記事を読むと「汚染源と見られているコンクリート塊は除却~焼却処分したが、コンクリート塊(が埋まっていた)の近くで環境基準値の2000倍の濃度のヒ素が検出された。そこで、新年度(平成20年度)から環境省が茨城県に対し、コンクリートの塊があった現場付近に地下水浄化装置を設置し、地下水をくみ上げてヒ素を除却(放置しておくと環境基準をクリアーするまで約60年が必要なので、くみ上げ~浄化で残留ヒ素の9割以上を3年で除却!)する」と書かれている。

うーん、今更ながら、という感もあるが、ここまできたことの原因は、事件が起きた時(2003年3月)の茨城県の対応のまずさ、思い込み等による判断ミスだといわれている。
まず「日本軍の毒ガス!」という思い込み(※1)、これがあとあとまでこの事件の原因の追究にかかる時間を長くしてしまった。
そしてそれは、地元の人たちの「砂利採取時の埋め戻しの際の不法投棄(投棄した業者がわかっているのに追求しないという)だよ!」という声や、事件後に調査に入った茨城大学や他の人たち(地方自治体の職員等)の「毒ガスガ原因だと思い込むことは危険である。他の要因も?」という言葉(指摘・質問等)等を聞かず、
「そんなことはない、軍の!」と、あくまでも日本軍のということだけが、その呪縛から逃れることがなく(出来ず)、原因(真実)の本質を究明することがどこかに押しやられ、あくまでの「毒ガスありき」から離れられなかったことが、原因究明と称してやみくもに調査のためにと井戸を掘ったこと、
そして、この地区の地下水が鹿島工業用水(茨城県)の取水び支配されていることから、人口地層内(砂利採取の埋め戻し)に廃棄されたヒ素が帯水層に漏出、そして工業用水の取水口方法に移動し、汚染の拡大・長期化につながっていってしまった。
このことに気がついて、早いうちに対応していればこのように広範囲においての汚染(汚染の拡大)はなかったであろうと言われている。

また、この事件の何年か前に、あるところで「高い値のヒ素」が検出された。
ここが、この部分が実はこの事件のキー(スタート)になっているのではないかと思う。
「高い値が!」という、その時点でなぜ「これはそんなに問題はないだろう(※2)」という判断をし、追跡調査をしなかったのか。それとも「それ位の値だから?」と気にしなかったのか?
「たら・れば」ではないが、この時点で調査・対応していたなら、もしかしてここまで汚染は拡大していなかったのかも知れない。

さらに、3月11日のこの記事で「地下水をくみ上げ浄化」ということが書いてあるが、これは莫大なお金と時間がかかること。そして、それはどこまでやるのか、どこまでやれば安全なのかということになる。現在、その地区は水道が敷設されているのだから、飲料水としての問題は特にないと思われる。問題があるとしたらそこで生産される「農作物」である。これらの汚染も当初の対応のまずさ(思い込み)から来ているのだ。

そして、やっとというか、実は初めからわかっていことなのだが、汚染の原因が「旧日本軍のものでなく、不法投棄(廃棄物の不法投棄)されたもの(1993年以降)「であることを国が認めたのだ。ところが、それでも、茨城県は国(軍の関与がなかったことが判明しているというのに関わらず)のせいにしている。

不法投棄(産業廃棄物)であったのなら、それは国ではなく本来県(茨城県)が対応すべきこと。それを県知事の「日本軍…」という新聞等でのコメント(※3)、そればっかりを繰り返し、「自分たちの関知するものではない!」というポジションで、全ての責任を国に押し付け、茨城県がなにもしていない(してこなかったこと)・責任逃れをしているのが、今更ながらとてもおかしく思う。

※1.「旧日本軍の毒ガス」という認識は、成分の化学分析の結果を基にしている。この化学分析の結果は大丈夫か?また、その解釈は正しいのか。分解物から、原因物質に辿り着くにはいくつかの複数の可能性がある。これは検討されたのか?
いろんなことを疑って、初めて科学者らしい。
何かが発表される。皆信じてしまう。この構造は危ない。もう一度疑ってみよう(中西準子)

※2.1999年2月、町内に社宅を持つ企業が社宅敷地内の井戸水を調査、環境基準の44倍のヒ素を検出。しかし、広報及び発表もしなかった。地元住民は「当時よく調べていれば、こんな事態にはならなかった!と訴えている。」(2003年5月26日 毎日新聞)

※3.「旧日本軍の毒ガスが原因であることはほぼ間違いない。国には製造責任があるのだから支援であれ補償であれ、過去の医療費、通院費を含め、将来においても支援すべきだ。」
「あくまで国の責任で汚染原因者の究明を!(不法投棄と分かったあとのコメント)」

※2003年9月に工業用水からもヒ素が検出

◎前述しました文書は、環境省、茨城県、そして地域に住む人たち、当時の新聞記事を書いた記者等から話を聞き、また茨城大学及び地下水学会、中西準子さん等の文章、茨城県のデータから一部引用し、作成しました。


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