指定緊急避難場所は洪水や地震などから身を守るため避難する施設。キーボックスは、緊急時に区役所の当直者に電話し、暗証番号を聞いて打ち込み、玄関の鍵を取り出す仕組みだ。2014年秋の豪雨災害で避難場所が開けない例が相次ぎ、市が16年に308万円かけて全校の玄関に設けた。
今回の地震では北区の屯田小と北辰中、白石区の上白石小の3校で、発生後1~2時間で住民が自ら鍵を開けて避難できた。市によると使用は初めて。
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真っ暗な玄関前、2世帯が解錠を待つ
屯田小の学校運営に携わる学校評議員の松井敦利さん(55)=飲食店経営=は、学校の状況が気になり地震直後に向かった。すると真っ暗な玄関前で2世帯が解錠を待っていた。
8月の防災訓練でキーボックスがあると聞いた松井さんは、新保元康校長に電話し「避難者がいる。どうやって入れるか」と暗証番号を尋ねたが分からなかった。松井さんは小型ライトを頼りに表示板に記された北区災害対策本部に電話。電話が通じ、番号を知らせる折り返し連絡を受けるまで、50分近くかかった。
入った後も、松井さんは駆け付けた校長と毛布など備品を探したが、何が配備されているか分からず、手探り状態だった。松井さんは「電話が通じづらく困惑した。備品の場所や必要な手続きを示すマニュアルもあれば助かった」と振り返る。
防災に詳しい釧路公立大の皆月昭則教授(災害避難学)は「避難場所確保は最優先」と強調。緊急時は自治体の対応に限界があるとし、「積極周知しないのは住民への不信感が背景。信頼関係を築き、町内会役員に暗証番号を伝えておくなど、対応策が必要だ」と指摘した。