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富士フイルム 再生医療・医薬品、収穫期に 武田子会社買収で攻勢

2017年01月06日 | 企業研究
富士フイルム
再生医療・医薬品、収穫期に 武田子会社買収で攻勢
日本経済新聞 朝刊 2017/1/6 2:30

 4日の仕事始め。富士フイルムホールディングスの古森重隆会長は東京・六本木の本社で数百人の幹部に発破をかけた。「再生医療事業を確実に拡大させよう」。話題の中心は、昨年12月に1500億円強で買収を決めた武田薬品工業傘下の和光純薬工業だ。



 ■専任の戦略室

 「総合ヘルスケア企業」を目指す富士フイルムにとって、昨春の東芝メディカルシステムズ争奪戦でキヤノンに競り負けたのは苦い記憶だ。和光を巡っては「富士フイルムの執念を感じた」(金融関係者)。その和光を子会社化する4月以降をにらみ、今月1日には専任の戦略室を新設した。

 すでに買収した先との連携も強くする。2014年には、日本で初めて再生医療製品を発売したジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J―TEC)を子会社化した。翌15年にはiPS細胞の開発・製造最大手、米セルラー・ダイナミクス・インターナショナル(CDI)を買収した。

 和光は細胞の培養に使う培地などの技術を持ち、細胞の開発と生産をつなぐパイプ役だ。富士フイルムの古森会長は「最強の布陣になる」と話す。

 同社のヘルスケア事業は前期売上高が4235億円と連結の2割弱を占める。事業別営業利益は全体の1割に当たる200億円程度とみられる。複合機やカメラ市場が成熟するなかで同社の業績が堅調なのは、ヘルスケアの貢献が大きい。

 再生医療や医薬品、医療機器からなるヘルスケア事業のうち、現時点で黒字を確保するのは内視鏡などの機器だ。

 新規の再生医療事業は赤字が続くが、ようやく先行投資が実りつつある。J―TECは今期、1999年の創業以来、初めて黒字に浮上する見通し。CDIは世界の医薬上位20社のうち19社と取引があり、収益が上向いている。和光は買収後に1000億円の売上高を目指しており、収益改善に弾みがつく。

 08年に参入した医薬品への期待も大きい。昨年8月にケニアで開いたアフリカ開発会議。助野健児社長は各国の要人にインフルエンザ治療薬「アビガン」の備蓄を勧めた。同薬はエボラ出血熱の治療薬としても注目され、富士フイルムから買い取った日本政府がギニア政府に無償提供した。

 ■「18年度までに黒字」

 今後は新薬の相次ぐ上市を控える。18年以降に血液がんの治療薬などで収益を計上する見通し。世界で市場が伸びるバイオ医薬品の受託製造も18年度には生産能力を倍増させる方針だ。石川隆利医薬品事業部長は「19年3月期までに黒字浮上し、早期にまとまった利益を稼ぐ」と語る。

 目算通りなら、市場の見方が一変する可能性もある。JPモルガン証券の森山久史氏は「ヘルスケアの利益が全体の3割を超えると株価が切り上がる」と指摘する。ヘルスケア業界の平均PER(株価収益率)は複合機など精密の約2倍に達するためだ。

 今春には次の中期経営計画を公表する。前期で5.8%にとどまる自己資本利益率(ROE)は「20年3月期までに8%以上」(古森会長)が目標だ。実質無借金の同社がROEを改善させるには利益の底上げが欠かせない。けん引役は、やはりヘルスケア事業だ。

 連結営業利益は08年3月期の過去最高を更新できずにいる。足元の時価総額は2.3兆円強と10年前から横ばいだ。種まきから収穫期に移るヘルスケア事業は、停滞を打ち破る起爆剤になろうとしている。



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