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変わる医薬営業(下) MSLが台頭 ノルマなし、知識で勝負

2015年08月26日 | 医薬
変わる医薬営業(下)
MSLが台頭 ノルマなし、知識で勝負
2015/8/26 3:30 日経朝刊

 製薬企業の営業職にあたるMR(医薬情報担当者)の人数が大きく減少する一方で、急速に存在感を増している新しい職種がある。欧米で台頭するメディカルサイエンスリエゾン(MSL)だ。

MSDは電話対応の専門職を試験導入した



説明能力を競う
 MSLの役割は「売上高を追わず、医師に薬剤や疾患などの専門知識を説明する」(日本製薬医学会の岩本和也理事長)ことにある。組織上も、ノルマ達成を求められる営業部門ではなく、販売目標を課さないメディカル部門の所属としている企業が多い。
 人事評価では販売実績が厳しく問われるMRとは異なり、MSLは「販売面は一切考慮せず、訪問先の医師による評価や説明能力などで決まる」(ベーリンガーインゲルハイムジャパン)。
 医薬品を売らない新職種が注目されるきっかけは、2013年から14年にかけて発覚したノバルティスファーマ(スイス製薬大手の日本法人)や武田薬品工業などによる臨床研究不正問題だ。新薬発売後の医師主導の臨床研究で、製薬会社の営業担当者による不正関与や、使い道を制限しない奨学寄付金として治験の経費を大学病院に提供していた事実などが相次いで発覚した。
 こうした行為を根絶するため、日本製薬工業協会は14年4月に臨床研究支援に対する考え方を発表。中立性が疑われる労務提供や、営業部門が奨学寄付金を提供しないよう製薬各社に求めた。
 営業部門に代わる医師との新たなパイプ役がMSLだ。日本製薬医学会によると、製薬大手22社のうち10社がこの1年でMSLの活動を開始したという。
攻めるは重鎮
 MSLが訪問する医師は、「キーオピニオンリーダー」と呼ばれる重鎮だ。最新の薬剤情報だけではなく、「MRが禁じられている『承認前の新薬情報の提供』などを通じて医師の問題意識や関心を引き出していく」(サノフィの高橋大治執行役員)。
 現時点では製薬各社のMSLは最大でも50人余りで、MRに対するMSLの人数比は平均2%にとどまる。ただ、米国では医師と製薬企業との関係を透明化する過程でMSLが増加した経緯をふまえると、日本も同じような傾向をたどる可能性が高い。
 MR減少を視野に、生産性を追求する動きも広がっている。米メルクの日本法人MSDは、九州地区で試験的に電話やメールで医薬品情報を提供する専門職を新設した。MRによる定期訪問が難しい離島などへの対応を念頭に置いた施策だ。米ファイザーの日本法人もインターネット専任のMRを設置。ウェブカメラなどを活用して医薬品の情報を提供する体制を整えた。
 医薬情報の提供活動のあり方が抜本的に見直され始めた今、MRが医師や薬剤師に面会し直接伝えるべき情報とは一体何なのか。「変革期こそ原点に戻って考える」(MR認定センターの近沢洋平事務局長)。製薬各社の知恵が試される。
 北沢宏之、山崎大作、朝田賢治が担当しました。

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