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弟切草の物語

2024-06-22 21:00:00 | ロマン派
オトギリソウ日本漢名は「弟切草」と書きます。
くずはモールの中庭に植えられていました。

10世紀の平安時代、花山天皇のころ、この草を原料にした秘伝薬の秘密を弟が隣家の恋人に漏らしたため、鷹匠である兄が激怒して弟を切り殺し、恋人もその後を追ったという伝説によるものです。

あるいは、鷹匠である兄が秘密にしていた鷹の傷の妙薬としてこの草を秘密にしていたが、弟が他人に漏らしたため、激怒した兄に切り殺されたという伝説に由来するという説もあります。

この不吉な伝説のため、付けられた花言葉も「怨念」「迷信」。
言い伝えでは、オトギリソウの葉に見られる黒い油点は、斬り殺された弟の飛び血とされています。

別名、ヤクシソウ、アオグスリともよばれます。中国植物名は「小連翹」(しょうれんぎょう)。

怖い伝説がある弟切草てすが、
茎や葉は血止め薬。花は煎じてうがい薬に使うそうです。

ジュゼッペ・ヴェルディ(1813-1901年)フランス帝国タロ地区レ・ロンコーレ村生まれ、イタリア王国ミラノ没

1850年
1851年に『リゴレット』を初演、成功させた38歳のヴェルディの作曲の筆はそこからしばらく止まります。

1839年の『オベルト』以来、年間1作以上のペースで作曲を続けてきた彼にとっては珍しい事態でした。
1851年6月の母の死、ジュゼッピーナ・ストレッポーニ


との同棲生活に対するブッセートの街の人々の冷ややかな眼、そこからの逃避の意味もあって近郊サンターガタでの農園購入とその経営(ヴェルディは単なる不在地主ではなく、農地管理の些事にまで干渉していた)など、作曲以外の雑事に忙殺されていました。

これからの暮らしには困らない収入も得て、この頃の彼はどこの劇場の委嘱も受けず、自ら選んだ題材を好きなだけ時間をかけてオペラ化する、という大家ならではの作曲作法が可能となっていました。

そして作られたのが、オペラ『イル・トロヴァトーレ』です。
イル・トロヴァトーレは吟遊詩人という意味です。

『イル・トロヴァトーレ』の原作『エル・トロバドール』はスペインの劇作家アントニオ ガルシア グティエレス(1813-1884年)スペイン チクラナ・デ・ラ・フロンテーラ没、スペイングラナダ没

によって書かれ、1836年にマドリードで初演された舞台劇です。

台本はサルヴァトーレ カルマーノ

1852年に亡くなり、3幕の途中からレオーネ・エマヌエーレ・バルダーレが書きました。

オペラ「イル・トロヴァトーレ」

15世紀始め。スペインのビスカヤおよびアラゴン地方。

第1幕
ルーナ伯爵の居城の一角で、警備の兵士たちにフェルランドが昔話を始めます。

ルーナ伯爵

「先代のルーナ伯爵には実は2人の息子がいた。そのうちの弟君に呪いをかけた容疑でジプシーの老婆を火刑に処したが、それと同時に弟君は行方不明となり、火刑台から子供の白骨が発見された。現伯爵はその白骨が弟であることを信じず、今でもその行方を捜している。」

場面はかわって城の庭園。美しい女官レオノーラがマンリーコを待っています。
そこへレオノーラに想いを寄せるルーナ伯爵が登場。
暗さゆえレオノーラは間違ってルーナに抱きついてしまう。そこにマンリーコが登場。

アルフレド・エーデル・コロルノによる、1883 年のスカラ座公演のマンリーコの衣装のスケッチ
当惑するレオノーラ、自分が愛されていないことを知り激怒するルーナ伯爵、レオノーラを赦し伯爵を挑発するマンリーコによって三重唱が歌われます。
伯爵とマンリーコは決闘を行うが勝負は付かない。レオノーラは気絶してしまいます。

第2幕
夜明け。ジプシーの一団が陽気に酒を酌み交わし、鍛冶の仕事に精を出しています。

アズチェーナは息子のマンリーコに彼女の昔話をします。

「母親が火刑に処せられた時、自分は伯爵の子供を誘拐して火にくべた。しかし気付いてみるとそれは自分の実の息子だった。」

自分の出自を訝しく思うマンリーコでしたが、アズチェーナは「お前は自分の実子だよ。伯爵に復讐してくれ。」と焚きつけます。

前幕の決闘でマンリーコが落命したと思い込んでいるレオノーラは修道院入りを決心します。
ルーナ伯爵は彼女を誘拐しようとしますが、マンリーコが阻止します。

第3幕
アズチェーナは伯爵の軍勢に捕らえられ、マンリーコをおびき出す人質とされてしまいます。

マンリーコとレオノーラは教会で結婚式を挙げようとしているその最中、部下がアズチェーナ捕縛の報をもたらします。

マンリーコは怒りに燃え、母の救出と伯爵への復讐を誓い、自分の軍勢を率い進軍します。


第4幕
戦いは伯爵軍の勝利に終わり、マンリーコは城の牢獄に捕われの身となります。
レオノーラは伯爵に、自分の体と引換えにマンリーコの命を救うことを提案、伯爵はそれを受け入れ釈放命令を出します。
レオノーラは隙を見て服毒します。

レオノーラは牢獄へ赴き、マンリーコを解放しようとします。
マンリーコは彼女が貞操を犠牲にしたことを非難します。
しかしレオノーラの飲んだ毒が効目を現し始め、彼女は愛するもののために死を選択した心情を訴えます。

ルーナ伯爵も登場、虫の息のレオノーラを見て自分が騙されたことを悟り、マンリーコの即時処刑を命令します。

アズチェーナはマンリーコの処刑を確認し、伯爵に「あれはお前の弟だよ」と告げ、「母さん、復讐は成った!」と狂乱の叫び声を上げます。


ミゼーレ 毒を飲んだレオノーラがマンリーコの牢の前で最後の別れを告げます。 ヴェルディが亡くなった時、トスカニーニ指揮によりこのミゼーレが演奏されました。