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Romantic Forever!内藤ルネ「かわいい」の源流

2010-02-10 03:10:15 | Art

ラヴもロマンティックも フォーエヴァーです。もう 臆面もなく。
予告通り、先週末行った内藤ルネ展「“ロマンティック”よ、永遠に」@大丸ミュージアムのお話。


中原淳一に心酔し、19歳のとき彼に招かれて上京し、「それいゆ」や「ジュニアそれいゆ」で
華々しく活躍した昭和7年生れ(私の父より1つ上)の内藤ルネ。本名は功。いさおさん。
ルネとは、憧れの映画監督ルネ・クレマンにちなんだペンネーム。

↑1959年

彼をいまだ女性と思っているファンもいるのだそう。確かに晩年の彼のポートレートは、
お婆さま以外のなにものでもない。しかも全身からラヴを発している老淑女にして、永遠のガールな。
アートの世界でゲイは珍しくないが、彼もトランスジェンダーな表現者のひとりだった。

↑ジュニアそれいゆ表紙1960年


会場には、ルネが「それいゆ」などで提案した手芸も再現されており、
そのかわいさにかなり萌えた(笑) 彼の作品に度々登場する黒猫モチーフも萌えポイント。
しかし、、彼の描く男子の髪型の多くは あろうことか角刈りやリーゼントや短髪系で、
長めの前髪が額にはらり系が好きな私としては残念ながらスルー。

左:それいゆ 1955年/右:それいゆ ジャズムードのれん 1958年


ルネは「私の部屋」や「服装」といった女性誌ではインテリアコラムも連載。
白塗りにした医療戸棚を流行らせるなど、’60年代 白い家具ブームの火付けとなった。
彼がデザインしたテーブルウエアの原型はヨーロピアンなものだが、
どこかファンシーになるのがルネ風。

1966年 ↑あ、これ、草間彌生作品じゃないので、念のため。。


ルネが「それいゆ」や「ジュニアそれいゆ」で活躍していた時代はさすがにリアルタイムでは
知らないけれど、'70年代のルネには馴染みがある。このパンダ貯金箱、確か姉が持ってた。
でも実はこのパンダキャラ、'70年代に日中国交回復でパンダブームが来る前に考案していたよう!

商品化される前の原画(右)にも、ファンタスティックな人柄がにじみ出ている。。。


でもって、このシール!! これは幼児期に姉におねだりしてもらった覚えが…。
'70年代少女だったひと、絶対これ持ってたでしょ?壁とかに貼ってお母さんに怒られてたでしょ?



そんなファンシーグッズで一世風靡する一方、こんなアンリ・ルソーの画のような、或いは
澁澤龍彦んちに飾ってある金子國義の画のような世界観の幻想絵画や絵本も手がけていたルネ。
1973年


図録も充実内容でした。裏はトレードマークの黒猫さん。


図録に収録されていた精神科医 香山リカ氏の文章(ルネ没後直後の2007年の朝日新聞記事)に
私の言いたいことが集約されているので、少々長くなるけれど、下記に要約引用します。

〈'50年代~'70年代のルネブームと最近のブームとでは、その意味合いがかなり違ってくる。
最初のルネブームのとき、日本の少女たちは自分の価値が「美しく、しとやか」ではなく、
「かわいく、元気」であることに気づいたが、あくまで本人たちの間だけにとどまっていた。
しかし今、未成熟で自由で元気な少女たちを描いたその作品世界は改めてアートや文化として
解釈されようとしている。’80年代半ば以降の日本を特徴づける「カワイイ文化」の
原形がここにあると考えられている。~中略~「カワイイ」には、成熟や責任を回避するという
マイナスの側面もあると同時に既成の価値観やヒエラルキーを無視して同じ土俵で「カワイイ/
カワイクナイ」という単一基準で格付けしようとするという 破壊的な力も秘められている〉

同じく図録に掲載されていた美術評論家・椹木野依氏の文章も
21世紀における内藤ルネの価値をもっとも簡潔に明言していると思うので、下記に引用します。

〈少女ポップにおいて戦前と戦後を、美術からサブカルチャーへ、サブカルチャーから
ネオポップへと円環させる回路を開いたのは、ほかでもない内藤ルネである。〉


たぶん、ルネの全盛期はまだ、「カワイイ」がイノセントだったのだ。
海外のブティックの店員までもが「カワイイネ」とカタコト日本語を操るようになるずっと前のこと。。



ルネ展の後、同じ大丸東京店の10アートギャラリーで、新進気鋭の画家 渡邉貴裕の
花札をテーマにした日本画展を開催していた。ローマと東京を拠点に活躍する彼の作品は、
卑俗なオリエンタリズムとは一線を画すパワーとエレガントさがある思った。


ルネ展も渡邉貴裕展も、今週で既に終了。あしからずです。。



ルネ展に行く前に、渋谷の喫茶店ParisにてNODE編集部の宮崎さんと打ち合わせ。
北風吹きすさぶ窓辺に並んだシクラメンやテーブルの上のカランコエの生真面目さが愛しい。



これは先日、目黒駅のお花やさんの軒先で見つけた生ガーベラ図鑑。
スリラー、ギャラクシー、スタスキー、ヌーベルヴァーグ、ミッドナイト、サガ、ウィズアウト・ユー…
ガーベラって、こんなにいろんなキャラがいたのね。



先月のニキの月命日に飾っていた薔薇が、とうとうこんなドライフラワーになった。
でもこれはこれで うつくしい。
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