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空飛ぶ自由人・2

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『いまの日本が心配だ』

2025年06月18日 23時00分00秒 | 書籍関係

[書籍紹介]

筆者の李相哲氏は、
中国出身のメディア史学者。
龍谷大学社会学部教授。
現在65歳。
1987年、27歳の時来日、
上智大学大学院で博士(新聞学)学位取得。
そのまま日本に住みつき、
1998年に日本国籍を取得
日本名は竹山相哲。
中国出身だが、日本愛は半端ではない。
本の表紙の日本の和服がよく似合う。
その立場から
日本の現状を憂い、心配して著したのが本書。

「はじめに」で、こう書く。

37年前に私が日本にやってきたとき、
日本は世界ナンバーワンの国でした。
日本の一人あたりGDPはアメリカを抜いて世界一でしたし、
日本の株式時価総額は、アメリカの1. 5倍、
世界全体の株式時価総額の実に45%を占めていました。
その時、中国は、経済規模では日本の約8分の1、
一人頭の収入は日本の82分の1でした。
その日本はいまどこに行ってしまったのでしょうか。

私も個人的には、
いまでも日本は世界最高の国だと考えていますし、
信じています。
食べ物もおいしいし、安いし、人々も親切だし、町もきれい。
生活の便利さも世界最高ですし、空気もおいしい。
「何が問題か」と反問する方もいるでしょう。
しかし、いま、確実に日本は世界から取り残されているような気がします。
いま、目に見えるものはともかく、
日本の内部で起きているさまざまな変化は、
良い変化ではなく、悪い方向へ向かっているような気がして仕方ありません。
この本は、私がこよなく愛する、美しき良き日本を、
これ以降も持続できるように、
現実に目を向けてほしいと、
日頃悩んでいたことを整理したものです。

目次は次のとおり。

はじめに
夢を追って日本へ

第一章 日本は夢の国ではなくなった

日本は夢の国だった
私は何をしに日本に来たのか
日本の現実は甘くなかった
あの夢の国はどこへ行ったのか

第二章 アナログからデジタル化失敗のつけ

いまの生活に満足、なのに何が心配か
NTTはどこに消えたのか
シャープは台湾の子会社に
日本は何を間違えたのか
デジタル化の失敗で何が起きているか
日本の失敗は挽回できるレベルか
チャンスはあったのに
完璧なアナログ社会がいまは重荷
日本の沈下は進行中
日本企業に人材が集まらない
日本をダメにする教育システム

第三章 甘っちょろい「善人政治」が問題

専門性を問わない日本の大臣
台湾や韓国と何が違うのか
日本の足を引っ張るのはデジタル化か
日本問題の根源は選挙制度にある
甘っちょろい政治家で大丈夫か
「善人政治家」で日本は大丈夫か
様変わりした日本の官僚
劣化が進む日本的システム

第四章 ジャングルの中の日本が危ない

日本が危ない
日本の自立、自存の道
「非核5原則」を見直せ
むしろ「核保有3原則」が必要
日本を繁栄に導いた3つの軸
日本も汗をかかないと
アメリカに頼って本当によいのか
トランプ政権に頼ってよいか
トランプ政権とどう付き合うか
日本と韓国が抱える共通の課題
安保上、日韓は「運命共同体」
韓国とはどう付き合うべきか
北朝鮮に振り回されないために
交渉に必要なのは圧倒的力
北朝鮮とはどのように交渉すべきか

第五章 「明治維新級」の改革が必要

まずは、政治システムを変えよう
選挙制度を変えよう
教育にも競争原理を導入する
大学教育を企業につなげよう
日本の英語教育を見直す
若者の国家への奉仕を義務化する
メディア業界に新しい風を

あとがき

かつて「ジャパン・アズ・ナンバーワン」と言われた日本が
この30年の間に、なぜ衰退したと言われるようになったか。
主に、次の点をあげる。

・アナログからデジタル化への失敗
・日本企業に人材が集まらない
・日本をダメにする教育システム
・優秀な人ほど、議員や官僚にならない
・政治システムが問題
・諸悪の根源は選挙制度
・中国、ロシア、北朝鮮に囲まれているのに、安全保障体制が問題
・他国の善意に頼るという外交は通用しない

特に、政治システムでは、
議員内閣制で国会議員が順番で大臣になり、
専門家が大臣にならないのを問題にする。
デジタル化を進めるには、
専門性を持った人物が大臣になるべきだという。
大臣の半数までは民間人を登用できるはずなのに、
結局国会議員のたらいまわし。
その結果、パソコンの知識のない人物がデジタル担当大臣になったりする。

二世議員が多い原因は、
祖父、父、息子へと継承される「家業」としての政治で、
金がかかり、普通の人が立候補できないシステムにある。
それには、得票率に基づいて、
選挙活動で使った費用を国が補填する制度を勧める。
たとえば5%の得票者に対しては、
選挙費用の半分を補填、
10%以上の得票者に対しては全額を補填する。

そして、究極的には、
総理大臣の公選制を勧める。
今のような国会議員の中の力関係で首相に選ばれる制度では、
思い切ったリーダーシップを発揮できないからだ。
公選制で選ばれれば、
政党の派閥に忖度する必要がなく、
多くを民間から閣僚に充てることが出来る。                                       

最後に、今の日本の凋落から抜け出すには、
明治維新級の大改造が必要だという。

しかし、あの安倍晋三さんでも出来なかった改革だ。
それ以上にリーダーシップを発揮できる人材を待つしかないのか。

李氏は帰化したとはいえ、元は外国人。
その善意の外国人に、
これほど心配かけるとは。
私が生きている間に、
日本は変わることができるのだろうか。

 



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