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安倍元首相の国葬

2022年09月02日 23時00分00秒 | 政治関係

安倍元首相の国葬について、
アンケートを取ると、
反対が賛成を上回った、
と報道されている。

これについて、フジテレビ上席解説委員の平井文夫さんという人が、
疑問を呈している。
安倍元首相に対しては、
国内と国外の評価に違いがある。
その業績を海外ほど高く評価している。

例えば、安倍氏は本音では憲法9条を改正したかったが、
日本を取り巻く安全保障の厳しさを見て、
先に集団的自衛権の見直しをして、
日米同盟を再構築した。
「自由で開かれたインド太平洋」構想を提唱して、
日本と米国、オーストラリア、インドによる戦略的枠組み
「QUAD」という対中包囲網をつくり上げた。
また、自身は積極財政派だったが、
「世界一の社会保障大国」である日本の消費税率が
5%という異常な低さだったため、
第2次政権以降、2度増税して10%にした。

これらの政策の凄さを国内では評価されない。
自分の生活に実感されないからだ。
媚びを売る政治家には分からないだろうが、
日本を世界の中でとらえ、
その行く道を指し示す
それは、歴代の首相たちがしなかった、
腹が座ってなければできないことだ。

いずれも自分の夢や主義より前に、
世界を相手に日本がどういう国になるべきなのかを考える
リアリスト的な行動だった。
集団的自衛権も消費増税も
支持率を下げ政治的ダメージを負ったが、
それをやり遂げる力があった。
強いリーダーだったのだ。

海外の政治家たちはそれを知っているから
各国の議会で追悼演説をし、弔問を希望している。
だから岸田氏は国葬にしたのだ。
ちなみに日本の国会の追悼演説は
延期になったままいつ行われるのかもわからない。
議員の皆さんは恥ずかしくないのか。

世論調査で国葬への反対が増えている理由は
安倍氏の旧統一教会への関与らしいのだが、
これを追及する立憲の幹部も関与していた。
霊感商法や高額のお布施は問題だが、
多額の寄付を要求する宗教団体も他にもたくさんある。
政治と宗教の問題を国会でじっくり話し合うのはいいと思うが、
今回の国葬と結びつけるのはおかしいのではないか。

また「モリカケサクラ」の問題が未解明だとして、
「安倍氏の評価はまだ定まっていないから国葬はダメだ」と言う人もいるが、
安倍氏の業績とモリカケサクラを同列に扱うのはさすがに無理があると思う。

「モリカケサクラ」は、
あれほど今回で長時間をかけてやっても、
結局、何も出てこなかった。
あとは、野党の「納得できない」が残るだけ。
最初から納得する気のない人を納得させることは至難のわざだし、
納得できないことで、
終わらせたくないだけのことだ。

「国葬の客観的基準を作るべきではないか」との質問に
首相は「その時の政府が責任を持って判断する」と答えた。
それでいいんじゃないか。
首相にはそれくらいの権限はある。
また警備、接遇費を事前に示せと言う人がいるが、
高すぎると思ったらカットしろということか。
警備と接遇に恥ずかしくない必要な費用をかけるのは当たり前だ。

野党の中で維新だけはちょっと違う。

維新の松井前代表は
「(国葬が)おかしいという意見は自由に発信されたらいいけど、
決まって、弔意を持って見送りたいという人たちが参加するんだから、
それを邪魔する必要はない」
と述べている。

そして、最後にこう結ぶ。

立憲も共産も国葬に来てもいいし来なくてもいい。
でも邪魔するのはやめてくれ。
一部メディアも含めみなさん、
どうかもう少し静かに安倍さんを送りませんか。

国葬は既に決まったこと。
それに対して、賛成か反対かのアンケートを取ることにどれだけの意味があるのか。
反対意見が多いからやめるほど政府はやわではないだろうし、
国際的儀礼にも反する。
昨年の東京オリンピックの時もそうだったが、
あの時も重大な視点が抜けていた。
それは、オリッピックが「国際公約」だったこと。
そこに言及したのは、
産経新聞の一つの記事だけだった。
国葬は、日本はこのようにして故人を送り出します、
という姿勢を内外に示し、
弔問を受け入れるとしたものだ。
あとは、貫くしかない。
反対の声がやかましかった東京オリンピックも、
困難を越えて実施してみれば、
「コロナ禍で開催できたのは、日本だったからだ」と
評価が高まったではないか。

日本で国葬に反対の声が多いと聞き、
外国の首脳たちはどう思うだろうか。
「えっ、安倍さんは、日本国内ではそんなに評価が低いのか」
と驚くだろう。
しかし、すぐに次の疑問もわくだろう。
「だったら、なぜ、あんな長期政権を維持できたんだ?」

「どんな預言者でも、故郷では歓迎されないものです」
とは、新約聖書の中のイエスの言葉だ。
イエスはユダヤでは反逆者と呼ばれ、処刑されたが、
その遺志は、国境を越えて世界宗教になった。

日本には、根強い「安倍嫌い」がいる。
その背景には、もっと根が深い「反日」がある。
彼らは、安倍さんが国際的評価が高くなることを快く思っていない。
国葬反対の声を挙げ、
安倍さんを貶めたいという、
深い情念が感じられる。

ネットに書かれた様々なコメントの中で、
最も端的に表現されたものを、次に挙げる。

世論は実際のところはわかりませんが、
メディアの多くは国葬に反対していますね。
それらメディアの記事を書いている人が、
単に安倍さんのことが生前から嫌いなだけだったように思えます。
あまりにも悪く書くものだから、
読んだ人が安倍さんに対して悪い印象をもってしまった感も否めません。
大体、国葬に賛成か反対かなんてアンケートは、
本来は取る必要はないはずです。
反対派が多かろうが、やると決まっている訳ですから。
それを、バイアスのかかったアンケートをとって、
反対が多くなるように仕向け、
印象を悪くしようとしているメディアの方が看過できません。
東京五輪のときも同様でしたが、
メディアの捻じ曲げ方は異常だと思いますね。

問題は、国葬が政争の具にされていることだ。
野党はそれを道具に政府を追い詰めようとしている。
そこには、哀悼の念死者に対する敬意もない。

平井さんの言うとおり、
もう本当に、
静かに安倍さんを送り出しませんか。