2週目の Han Fes も2本だけ・・・
『愛するときに話すこと<사랑할 때 이야기하는 것들>』
(2006年 監督:ビョン・スンウク)
昨年、『夏物語』と同日公開で興行的に共倒れしたメロ作品。『夏物語』と違うところは、『夏物語』が韓流王道メロの作品だとすると、こちらは、泣かせるわけでもなく、笑わせるでもなく、タイトルのイメージに反して韓流王道の作品ではないということ、ストーリーが細やかでいて現実的ということでしょうか。
死んだ父の莫大な借金を抱える女と、精神障害者の兄を抱える男が出会い、お互い背負うものが大きすぎて身動きがとれず、思うようにいかない人生。そんな人生を嘆いたところで現実は何も変わらないこともよく承知しているところが、孤独で寂しげなのだけど、決して同情をひくような人生を歩まないところが毅然としていて良かったと思うのです。
この男女が出逢って、「心の慰め」の関係以上に発展するのかどうかを、最後まで見届けたいと思うようなストーリーでもあります。
でも、ストーリーは良いのに何かが物足りなくて、何かもったいないような気がしてなりませんでした。主演のハン・ソッキュとキム・ジスよりも、ハン・ソッキュの兄役で精神障害者を演じたイ・ハヌィの存在感が大きかった分、主演2人が惹かれあう部分が淡白に映りました。
キム・ジスが突然泣き出す場面が2度ありましたが、泣きたくなる状況なんだろうなぁとこちらは好意的に解釈しましたが、演技としては意味不明で「突然、何?」と思ってしまいました。彼女にはちょっと荷の重い役だったように見えました。
ハン・ソッキュとキム・ジスがドライブインシアターで見ていたのが『国境の南側』だったので、これはもしかして伏線かしらと思ったのは、深読みでもあり、BINGOでもあり・・・。
『拍手する時に去れ<박수칠 때 떠나라>』(2005年 監督:チャン・ジン)
チャン・ジン監督、台風にもめげず無事に来日されてヨカッタです。開演前に、のんきにタバコなどを吸っておられたので、目の前でマジマジと拝見してしまいました。監督の背が高いことは知っていましたが、私も決して低い方ではないのに、見上げる感じでした。なんだかとても、カッコヨカッタです(いきなり外見の話というのもなんですが・・・)。
『拍手~』は日本で数えるほどしか上映されていないのに、観客の多くが、すでにこの作品をなんらかの形で観ているというのもスゴイというか、ハギュペンが多かったようですが、監督ファン、韓国映画ファンは熱いですね。
5月の『息子』舞台挨拶時はとても時間が短かったので、ほとんどお話というものはありませんでしたが、今回の舞台挨拶とQ&Aセッションでは、それよりも長かったので、生のお話を聞けたのは初めてということになります。
時間の短いやり取りでも感じられたのは、やっぱり知的な人だなぁということでしょうか。笑顔の中にも、何か寄せ付けないもの、近寄りがたいもの、迎合しないところ、凡人じゃないところ、そういうものを持っておられるようにお見受けしました。うーん、ステキ。
Q&Aの内容はどこかで紹介されるのではないでしょうか。メモしなかったので・・・。いつどこでもアイデアが浮かぶという監督は、アイデアが浮かんでもメモもとらず全て頭の中で整理してしまうそうで、一体どういう頭の構造になっているのか・・・。明日の講座の方がより深い話が聞けると思うのですが・・・
映画については、見すぎて今さら何を語ればいいのかわかりません・・・。とにかく私はこの作品は好きで、なぜ好きなのか理由はよくわかりませんが、何度見ても、背筋がゾクッ~ とするのはなぜなのかしら・・・と帰りすがら考えたけど、やっぱりわかりません。なんだかツボに入っちゃったということのようです。