(Image source: movist)
『愛の傷』(2005年 監督:ユ・サンウク)って、まさしくソープオペラ的タイトル。原題は『シュロの木の森(종려나무 숲)』。
エリート弁護士インソ(キム・ミンジョン)は、大学での講義のためバスでカンヌンに向かう。すると前日に見合いをしたキャリアウーマン ソンジュが乗り込んでくる。彼女はインソに気があり追いかけてきたのだ。インソは、ソンジュに自分の2年前の愛について語り始める。
2年前の舞台は巨済島(コジュド)。インソは、島の造船会社から請われて、特許関連の業務で島に渡る。その造船所で、男性たちに混じって働くファヨン(キム・ユミ)と出逢う。ある日酔いつぶれたファヨンをインソが家まで送りとどけるのだが、彼女の家は、シュロの木で覆われた人里はなれた海辺だった。そこで、インソは、ファヨンの祖母(チョ・ウンスク)から、自分自身とファヨンの母(キム・ユミ2役)にからむシュロの木にまつわる悲恋話を聞く。
ストーリーテラーの話の中に、さらにストーリーテラーがいて、入れ子みたいな構成。この入れ子の中で、祖母(チョ・ウンスク)、母(キム・ユミ)、娘(キム・ユミ2役)と3代にわたってこの島に生きる女性の話をつづる。メロでもちょっとヒネリのある構成で、ストーリーの奥に分け入っていくような感じで、ちょうどシュロの森を分け入るようなイメージと重なっていて、小説だったらしっとりした話で良かったような気がする。
それぞれのストーリーテラーの話が淡々としているのが気になるが、もちろんお涙ちょうだい的な情感たっぷりすぎる話だと、それはそれで陳腐になるので抑えた感じとでも言おうか。
島の造船会社で働く女性作業員と、その会社に請われてソウルからやってきた弁護士。田舎娘とシティボーイの恋。これもまたありふれた構図すぎて、せっかくシュロの木の森をかきわけて愛を探し歩くみたいなイメージが、映像になるとピンとこない。
エンディングは、「愛と青春の旅立ち」コジュド篇かとも思えたりして、ちょっと笑えた。(笑うところではなかったけれど・・・)
キム・ミンジョンはなんだか懐かしい。もともとはバラード系の歌手だったとか(今も歌手・・・マルチタレント)。ドラマ「秘密」で、アパレルの若社長役を演じていたのを思い出す。あのドラマは、キム・ハヌルとハ・ジウォンの異母姉妹対決が面白かった。
それにしても、どうしてこんな韓国内でもほとんど話題にならなかった作品が日本語化DVDになっているのか・・・版権がお手ごろ価格だったのか、韓流的メロ作品はとりあえず日本語化しておくということか・・・