Addicted To Who Or What?

引っ越しました~
by lotusruby

『グエムル 漢江の怪物』鑑賞

2006-09-03 15:55:52 | K-Movie Notes


(Image source: nkino)
つい先日、韓国内で観客動員数 No.1 記録を塗り替えることがほぼ決定したこの作品。最短期間での観客動員1000万人も達成。記録尽くめだそうだ。1000万人というと、東京都の成人がほぼ全員見たことになる。かの国の数字はやや大げさなところがあるので、なんともいえないけど、相当な数の観客を集めていることは間違いなさそうだ。本当に化け物 映画になってしまったのね。

クェムル君、怪獣というよりは、「化け物」に近い。ヌルっとした感触はエイリアンっぽい 。「化け物」なので、顔がよくわからないし、口がグロテスクすぎる。しかし、背中にくっついている2匹のお魚さんはなんだろう。そのお魚さんが気になりだすと、グロテスクな容貌もちょっと滑稽だったりする。クェムル君の声(唸り声)は、オ・ダルスssi の声がベースだそうだが、「ウギャ、ウギャ、ガオ、ガオ、ギャオ、ギャオ」録音したのだろうか。これも、想像するとあまりに滑稽。

韓国人にウケたツボは何なのだろうか。『ブラザーフッド』や『王の男』がもっていた記録を塗り替えてまで、1000万人以上を動員する魅力は何だったのか、よくわからない

作品を引っ張ったのは、クェムルに少女をさらわれたあの5人家族の個性だろうか。素人っぽい演技者が誰もいないので、淀みがなく完璧な演技。家長ヒボン(ヒョン・ヒボン)、長男カンドゥ(ソン・ガンホ)、次男ナミル(パク・ヘイル)、長女ナムジュ(ペ・ドゥナ)、カンドゥの娘ヒョソン(コ・アソン)。ごくごく普通の一般家庭。何も持っていない。お金も持っていないし、武器と呼べるものもないし、知恵もない、有力な協力者もいない。ヒョソンがさらわれたからといって、格好良く立ち上がって、クェムルに立ち向かうわけではない。一般市民の非力ぶりさえ強調されている。

さらわれた家族を助けるというただのファミリードラマというわけでもなさそうだ。ただ、主役は、クェムルにさらわれた娘ヒョソンだったのではないかという気がする。この作品の最初のシーンと、最後のシーンが、こんなにも切ないつながりだったのかと・・・

フリペ  の「TOKYO HEADLINE (Aug 28)」にポン・ジュノ監督のインタビュー記事が掲載されている。怪獣映画を作るという話をソン・ガンホにもちかけたら「ふーん」てな感じで、ちっとも驚いてくれず、パク・ヘイルにいたっては、「ソン・ガンホと僕とぺ・ドゥナの兄弟って猟奇的だ」とキャスティングのほうに驚かれ、監督としてはちょっと肩透かしだったみたい。韓国映画初のSF怪獣映画???なのにね。

しかし、SF映画でもなければ、怪獣映画でもないし、コメディでもないし、ホームドラマというわけでもないし、社会派映画でもない・・・ジャンル
のない映画のため、「韓国内で最も宣伝担当者から嫌われている監督」、宣伝マン泣かせ の監督なのだそうだ。

残念ながら、今日の上映館はガラガラだった。怪獣映画好きといわれる日本では、怪獣と定義しずらいクェムルはウケるのかな?? 6月にのんびり漢江クルーズなどに興じたが、今度行ったら、漢江の水面から目が離せなさそうだ