(Image source: nkino)
ちょっとダイバッドな気分になったので、『ダイ・バッド~死ぬか、もしくは悪になるか(죽거나 혹은 나쁘거나)』(2000年 監督:リュ・スンワン)。
ダイバッドな気分って、別に死ぬか、悪になるか、という選択に迫られているわけではなくて、なんだか行き詰ってキリキリしていたもので・・・
4部構成。まず第1部「ケンカ」を短編として製作、その後第3部「現代人」も短編で製作してから、第2部「悪夢」と第4部「ダイ・バッド」と加えてリレー形式の長編作品となった。なんでも、PIFFに対するリベンジ作品だとスンワン監督言ってましたっけ。
第1部「ケンカ」
ビリヤード場でたむろしていた工業高校の生徒ソンビン(パク・ソンビン)とソクファン(リュ・スンワン)は、そこで芸術高校の生徒とケンカになる。ソンビンは、誤ってキザな芸術高校の生徒ヒョンスを殺してしまう。ここから、ソクファンとソンビンの因縁が・・・
スンワン監督、なんだかほっそり。制服姿がちょっとかわいい・・・(笑)。
第2部「悪夢」
刑期を終え出所したソンビンは、家に戻っても父親から辛く当たられる。刑事になった友人ソクファンに連絡しても冷たくあしらわれる上、ヒョンスの亡霊に悩まされる。ある日ヤクザのボス、テフン(ぺ・ジュンシク)を助けたことがきっかけで、ヤクザの世界に足を踏み入れる。
ここではジェヨンがソンビンの兄役で友情出演。
最初見たときスルーしていた私 ミアン
だって、キラーキャラでも、キモキャラでも、メタボキャラでもなく、訛りキャラでもなく、珍しくごく普通の一般人キャラだったもので・・・
第3部「現代人」
刑事のソクファンは、ヤクザのボス、テフンを検挙するために、テフンと1対1の闘いになる。
ソクファンのモノローグとテフンのモノローグがドキュメンタリーのように交差しながら、対決場面が続く。
私的には4部構成のうちこの部が一番お気に入り。「モノローグ=静」と「対決=動」のシンクロとでも言うべきか、とても洗練された空間と時間。
第4部「ダイバッド」
スンワン&スンボム兄弟が兄弟役で出演する作品を見ることはもうないかもしれない。
ソクファンの弟でサンファン(リュ・スンボム)は問題児。もちろん学校になんて意味を見出せず、ヤクザに憧れて、兄ソクファンのかつての友人で、今はヤクザ者のソンビンの手下になる。
ヤクザらしく肩で風きって歩いてみても、その姿はどうみても悪ガキにしか見えないのだけど、そんな悪ガキを演じさせるとスンボムの右に出るものはいない。無駄死の最期は哀れすぎる。そして、友人同士だったはずのソンビンとソクファンの対決が避けられないのも悲しすぎる。
ここでもソンビンとソクファンの対決場面とサンファンの乱闘場面をシンクロさせることで、別々の構成を、一本の糸でつなげているように思える。
この作品には、この後のスンワン作品にも出演する人々の顔があちこちに。製作費6500万ウォン。低予算作品として監督ご自慢の一品。
私が言うのもおこがましいけれど、スンワン監督の作品はどれも構成力に優れていると思う。この作品も然り。元々短編から出発したものであるけれど、ストーリーは、パズルがどんどんはめ込まれていくような感覚で、最初と最後がきっちり噛みあって、抜け落ちたパズルがない。
チャン・ジン師団もそうですが、リュ・スンワン師団(て言うのか?)も大好きなんです。パク・ソンビンやスンボムが「タチマワ Lee」では打って変わって別人のように壊れているし(笑)殺されてしまったキム・スヒョも「ARAHAN」や「クライング・フィスト」では同じ人とは思えない豹変ぶりがツボです。同じように常連俳優を多用する両監督ですが、俳優のキャラをがらりと変えて楽しませてくれるという点ではスンワン監督の方が一枚上かなと思っています。
第2部はジェヨン以外に見所はないです(笑)。亡霊のキム・ヒョンスは「血も涙~」でもホストみたいなキャラが笑えました。
>スンボムったらほんとうに素人
スンボムはこれがデビュー作品でしたね。低予算だから弟を採用してみたってことじゃないですよね(笑)。私の好みは、圧倒的に兄スンワンでして…
Marioさん的いちおしは第4部ですか。モノクロなのでギャングノワールとも言われているようですが、スンボムがズブズブ突き刺されるてるうちに、いつの間にか外は白い雪が積もってるし、スンワン監督やっぱりカンフー好きだけど、両目から血流しているし… 残忍で悲壮感漂う場面のはずなのに、なぜかふっと笑えてしまい、コミックを読んでいるような感覚をおぼえました。
チャン・ジン師団とリュ・スンワン師団って、かぶっている人がいたりするのも、見ている方にとっては楽しい発見ですね。