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東ティモール:アルカティリ前首相、逮捕まぢかか

2006年07月20日 17時21分21秒 | ■東ティモール暴動
マリ・アルカティリ前首相が、いよいよ逮捕されそうな雲行きだ。東ティモールのモンテロイ検事総長は、逮捕の可能性を排除できない、と発言している。

東ティモールを支配しようとしている者は、マリ・アルカティリという政治家を心底恐れているのだろう。彼の政治生命を完璧に絶たなければ、落ち着いて眠れないに違いない。

アルカティリ前首相は、事情聴取に応じる構えだが、そうなれば彼の運命は決定するだろう。

前首相への嫌疑は「私的襲撃隊の編成と武器供与」だ。そして、逮捕済みの前内務大臣ロジェリオ・ロバトは、「アルカティリの指示で、自分が襲撃隊を編成し武器を渡した」と供述している。また、ロバトから武器を受け取ったという民兵の証言もある。

この報道の時点で、アルカティリ前首相は国際社会から「有罪」を宣告されたようなものだろう。あとは、実際に彼を逮捕し、公判の被告席に立たせれば、ほぼすべては終了だ。

「アルカティリの襲撃隊」の存在に疑問を投げかける、オーストラリアの”The Age"紙の記事では、すでに紹介した。
※当初「襲撃隊」と表記されていたものが、後に「暗殺隊」と表記されるようになった。

この「アルカティリの襲撃隊」のニュース・ソースは豪ABCテレビの”Four Corners"という番組だ。そして襲撃隊の存在はろくに検証もされず、他のメディアによって”既定の事実”として瞬く間に世界を駆け巡った。そしてこのレポートを機に一気にアルカティリ首相辞任要求は加速していった。

”Four Corners"のレポートが6月17日で、翌18日、グスマン大統領は、首相に辞任を要求している。そして、反アルカティリ暴動は激化。23日、大統領は、首相が辞任しないのなら自分が辞任すると発表。翌24日、それを撤回。25日、ラモス・ホルタ外相兼国防相が辞任。そして、26日、ついにマリ・アルカティリ首相は辞任した。”Four Corners"のレポートから9日後だ。

あらゆる状況を考慮すれば、ロバト前内務大臣の供述の信憑性には、個人的には大きな疑問を感じる。ただし”不自然だ””できすぎている”という主観的なものだが。

大国オーストラリアを向こうに回して、一歩も引けをとらなかった屈強なアルカティリ首相を放置しておけば、必ず再起するであろうことは誰にでも予想できる。必要なときに、都合の良いことが必ず起こるのが”歴史”というものだ。

この事態に、アルカティリ前首相には策があるのだろうか。



<参考記事>
東ティモール報道:小出しにされる真実
http://blog.goo.ne.jp/leonlobo/e/65dcf520483615b130483052528c2eb3
アルカティリ前首相、オーストラリアを激しく非難
http://blog.goo.ne.jp/leonlobo/e/26b664ffd3f0b01629d427d25fc07093



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