報道写真家から

我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか

何としても東ティモールに駐留したい豪

2006年07月06日 17時40分23秒 | ■東ティモール暴動
マリ・アルカティリ首相が辞任し、東ティモールの政局をコントロールできそうなオーストラリア政府は、次に、オーストラリア軍の「正式な駐留」をめざしている。

現在の2000名の派兵は、あくまで暫定的な措置にすぎない。東ティモールの治安が安定してしまえば、撤退しなければならない。オーストラリア政府は、東ティモールが安定したとしても軍隊の駐留を続けたい。そのための布石をはじめている。

オーストラリア政府は、INTERFET(国際軍)の司令官として東ティモールに赴任した経験のあるピーター・コスグローブ将軍を使って、オーストラリア軍の東ティモール駐留がいかに必要であるかを訴えさせている。

東ティモールへの軍隊配備は「過剰」ではない、とコスグローブ
ABC Newsonline July 5, 2006
”マチェテ(大型のナタ)や棒で武装した暴徒の鎮圧に、オーストラリア軍を派遣することは過剰である”との見解に対して、前豪国防軍司令官ピーター・コスグローブ将軍は、これを否定した。

東ティモールでのバイオレンスのほとんどは、マチェテやガーデン・ツール、棒などで武装したギャングによって犯された。

しかし、コスグローブ将軍は、現状を平定するには、ヘリコプターや武装した軍隊が必要であると言う。

「当面必要なことは、住民がストリートバイオレンスに巻きこまれないように、ストリートギャングを排除することだ。それこそが、本当にいま必要なことだ。」

警察をもっと派遣すべきであるという提案は、実際的でないとコスグローブ将軍は言う。

「どこにそんなにたくさんの警官がいる?」

「我々は、これを簡単に実現できることだと見たがっているが、豪国内を見て見ればいい、何千という暴徒を相手にできるほどの警察官がいるかね」

6年前、東ティモールの民主国家への過渡期に、国際軍の指揮を執ったコスグローブ将軍は、紛争地域にはオーストラリア軍を派遣し続けるのが必然である、とみている。

「たとえ東ティモールが、安定し、豊かになり、民主的になり、成熟し、発展したとしても、我々が駐留するのは、それは、我々の責務であり、当然の役目である」

「我々は永遠の隣人である。我々は、友人に対して、この義務から離れるべきではない」
Cosgrove denies E Timor deployment 'overkill'
http://www.abc.net.au/news/newsitems/200607/s1678943.htm


ピーター・コスグローブ将軍は、1999年の東ティモールでの虐殺と破壊を阻止するINTERFETの司令官として、東ティモールに派遣された。

しかし、以前お伝えしたように、コスグローブ将軍が東ティモールでおこなった主な任務というのは、インドネシア国軍や民兵による虐殺の証拠(遺体を含む)を隠滅し、虐殺の規模をできるだけ小さく報告することだった。

そのようなコスグローブ将軍の言葉だということを考慮すれば、今回の発言はあまりにも見え透いている。

オーストラリア政府は、アルカティリ首相を追い落したことによって東ティモールの政治を掌握することに、ほぼ成功したと言っていい。

しかし、この先東ティモールの政局が思い通りに動くかというとそういう保障はない。その保障を得るためには武力ほど確かなものはない。東ティモールの政治を思い通りに操り、資源を略奪するためには、軍隊の駐留が絶対条件と言える。

コスグローブ将軍の発言は、オーストラリア軍駐留のための見え透いたコンセンサスづくりが目的と言える。

<参考記事>
99年9月、虐殺を放置したオーストラリア政府
http://blog.goo.ne.jp/leonlobo/e/45151f0fd3ddf096fd5cff316b4ffafc
続・99年9月、虐殺を放置したオーストラリア政府
http://blog.goo.ne.jp/leonlobo/e/86e87cecd7ddc415c7395b7b967bde0d
国連という玉手箱
http://blog.goo.ne.jp/leonlobo/e/9965b4328396ff49e95ccfef9dfbf44f

廃墟と化したディリ市内を歩く豪兵士   1999年12月撮影


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