報道写真家から

我々が信じてきた世界の姿は、本当の世界の実像なのか

東ティモールは「失敗国家」ではない!

2006年07月14日 22時47分41秒 | ■東ティモール暴動
東ティモールに関する1ヵ月ほど前の記事をいまごろになって見つけた。まだ、概要の部分だけしか読んでいないのだが、紹介しておきたい。この記事でも、東ティモールの今回の事態には、外国勢力の操作が働いていた可能性を示唆している。

『東ティモール報道:小出しにされる真実』で、紹介した記事のように、東ティモールで起こっていることは不自然なことだらけなのだ。

それが、大手メディアで報じられないのは、大国の巨大な利害や利権がこの小さな国にかかっているからだ。

何度でも、繰り返したい。
第一に、石油とガスの略奪だ。


東ティモールを救え
Saturday, 17 June 2006
By Shalmali Guttal
東ティモールでは深刻な政治的人道的危機が進行している。国内の治安は崩壊し、30人を越える人が命を落し、それ以上の人が負傷した。そして、15万人以上が家を追われた。対立する武装ギャング団がディリの路上で恐怖を巻き起こし、反乱分子は丘に基地を設営した。現在、4ヶ国からの平和維持部隊が法と秩序を回復するために東ティモールに駐留している。反乱分子、そして反政府リーダーたちは、武装解除の条件として、アルカティリ首相の辞職を要求している。

国内の政治的な相違が、外国の勢力によって巧みに操作されたかもしれない兆候がある。石油とガスの埋蔵と地政学的位置によって、東ティモールは、隣国(そしていくつかの離れた強国)にとっての利害国である。東ティモールに対する支配権をめぐる最も大きな競争者は、豪とポルトガルである。両国は、法と秩序の回復のため部隊を送っている。インドネシアは時をうかがいながら、近い将来、アセアンを通して干渉しそうだ。アメリカは、あらゆる地域に平和維持部隊を展開する余裕はないので、オーストラリアを通して行動することに満足しているように見える。

UNと援助国は、200年以上の植民地主義と(インドネシアの)武力支配からの脱出に乗じて行った「国家建設」と「紛争後の再建」モデルに失敗したのだと判断したくないようだ。しかしながら、外国のニュース・メディアによって、現在の危機は「失敗国家」として描かれている。「再建援助」の30億ドルの50%は、外国のコンサルタントや調達費、外国事業者の給料へと消えた。再建産業の巨大な外国人コミュニティが引き起こしたバブル経済は、UNミッションが撤退しはじめると崩壊した。再建産業の興隆と衰退のあと、何が残されたかを見るのは簡単だ。失業、空腹、憤りだ。

国際社会の大部分は、マリ・アルカティリとフレティリン政府にこの危機の責任を、素早く負わせた。国際メディアの中には、「政権の交代」を求める声さえある。外国勢力は、東ティモールの国内の争いと失敗を、操作し利用する強い位置を占めていることは明らかだ。

東ティモールの指導者層は、この重大事に一致団結して、この危機の打開にあたらなければならない。誰が東ティモールを統治し指導するかは、東ティモール人自身が決定しなければならない。決して、オーストラリアやUN、US、ニュージーランド、インドネシア、日本、アセアン、世界銀行、あるいは、資源を切望している民間企業にハイジャックされてはならない。現在のもっとも緊急の優先事項は、東ティモールの人々が、主権と平和の獲得、そして経済的政治的公正のために、集結することである。
"STANDING BY EAST TIMOR"
Focus on the Global South
http://www.focusweb.org/content/view/939/


1ヵ月以上にわたって、しつこく東ティモールのことを書き続けている。
なぜなら、大手メディアが、いかに真実から人の眼を遠ざけているかという典型的な見本がここに展開されているからだ。
そして、ほとんど誰もそのことを書いていない。
英文の記事に少しだけ発見できるだけだ。
僕一人くらいが書き続けなければ、東ティモールはすぐに記憶から消し去られてしまうだろう。

東ティモールは南海の「失敗国家」ではない。
「失敗国家」に仕立て上げられ、新たな侵略を受けているのだ。