報道写真家から

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東ティモール報道 : 豪軍だけがクローズアップされる

2006年07月07日 17時16分40秒 | ■東ティモール暴動
少し前にも、似たような記事があったが、小さな反乱兵士のグループが、オーストラリア軍に武器を引き渡した。

東ティモール反乱兵、武器を引き渡す
Wednesday, July 5, 2006
グレノ、東ティモール(ロイター)-- 反乱兵のあるグループは、オーストラリアの平和維持軍に所持する武器を引き渡した。アジアの新国家は秩序回復に向っている。

反乱兵の小さなグループのリーダーであるアウグスト・アラウジョ中佐は、すべての(武装)集団に違法な武器を引き渡すよう促した。

彼のグループは、若干の武器とともに今週離脱した最新の反乱兵である。

「我々はこれ以上戦うつもりはなく、平和を支持したいということを、世界と東ティモールの人々に示したい」
East Timor rebels surrender guns
http://www.cnn.com/2006/WORLD/asiapcf/07/05/timor.weapons.reut/index.html?section=cnn_latest


こうした武器の引渡しというのは、はっきり言っていつも「茶番」だ。単なる演出だ。

99年の8月にも、併合派民兵と独立派ゲリラ・ファリンティルは、UNAMETが提言した武器引渡しに同意し、それぞれ大々的なセレモニーまで行われた。

しかし、引き渡されたのは、全体の何十分の一という量にすぎず、ほとんどは使い古されてもともと役に立たないようなポンコツ銃だった(セレモニー用に新しい物も少しは混じっていたと思うが)。この武装解除セレモニーの一週間後には、豊富な武器による民兵の容赦ない殺戮がはじまった。

記事中の反乱兵士のアラウジョ中佐のグループは、今週離脱して、はやくも平和のためと称してオーストラリア軍に武器を引き渡している。少々、不自然に感じる。

こうした反乱兵士の武器引渡しの報道は、オーストラリア軍の手柄のような印象を与える。

ピーター・コスグローブ将軍の、「オーストラリア軍の駐留は必然であり、それが東ティモールのためになる」という発言を、バックアップする一要素とも言える。オーストラリア軍は、存在するだけでなく、こうして具体的な成果をあげている、ということを示せる。

東ティモールには、ポルトガルやニュージーランド、マレーシアの警察部隊も派遣されているのに、なぜか、オーストラリア軍だけがクローズアップされる。