少し前にベストセラーになった本です。そう、新型コロナウイルスの蔓延前に。
著者はお医者さん(医学博士)でしかも公衆衛生学が専門であるため、現在のコロナの状況を示すような、まるで「予言」していたかのような記述が多いです。
ちょっと長くなりますが、一部を引用。
<引用はじめ>
ワクチンを例にあげよう。恐ろしい病気から守ってくれる予防接種
もしあなたが仮に、麻しん(はしか)の予防接種を子供に受けさせたくないと思うなら、次の2つのことを守ってほしい。
まず、麻しんにかかった子供が亡くなるとき、どんなふうに亡くなるかを知っておこう。麻しんにかかった子供の多くは回復するが、いまだに発病してからの治療法はない。最高の対症療法を行っても、1000人のうちひとりか2人が亡くなってしまう。
次に、「どんな証拠を見せられたら、わたしの考えが変わるだろう?」と自分に聞いてみよう。「どんな証拠を見せられても、ワクチンに対する考え方は変わらない」と思うだろうか? もしそうだとしたら、それは批判的思考とは言えない。証拠を無視したら、批判的思考は成り立たないからだ。ワクチンを疑う際に役立った批判的思考が、いつの間にか役立たずになっていないだろうか?
<「第4章 恐怖本能」より・引用おわり>
先日、あるメーリングリストで「ワクチン接種は慎重に、自分を大事に」という意見が回ってきました。そのこと自体はいいでしょう、意見が様々なのは当然でしょうから。しかし、その人が貼り付けてきた根拠(しかも他人から「回ってきた情報」の「転送」だという)のあまりに愚かな内容に、絶句。ご自身でもその根拠の信憑性を、多少なりとも調べてみましたか?せめて元の情報に当たりましたか?いやいや調べる以前に、どうしてその愚論の方を(ワクチンよりも)信用できると思ったのでしょうか?判断の決め手は何なんですか?
メーリングリストからは即刻脱退しました。新型コロナに関するFacebook上の愚かな投稿に辟易して離れてしまったのに、メーリングリストでこんなヨタが飛び込んでくるのではたまったものではありません。
ずいぶん売れた本なのだけどな。ひとつの流行語にもなったはずです、FACTFULNESS。
しかし新型コロナのこの世の中、この本の主張に反してFACTLESSNESSに満ち溢れています。
(追記)
新型コロナのこの時代、著者のハンス・ロスリング氏はどのような意見を言っておられるのだろうかと思い、調べてみたら、2017年にお亡くなりになっているとのこと。誠に残念なことです。