インスパイア

自然を通して心をみつめる。言葉をとおして人生を見つめる。

本当の翻訳の話をしよう

2017-04-28 13:55:56 | Weblog
村上春樹のトークイベント「本当の翻訳の話をしよう」に行ってきた。

定員は460人だからそれほど多くは無い。でも倍率は15倍だったようだから、あたったのも超ラッキーでした。
いろんな年代の人で男女比は半々くらいかな。俺くらいのおやじも結構多い。

特別な演出もなく、淡々と開演時間が近づいている。本当に村上春樹が来てるのかな、ってちょっと信じられない感じもする。

司会者の簡単な紹介のあと、本当に村上春樹が出てきました。そのいでたちは、、、
ずいぶんカジュアルだなあ、ベージュのズボンと黒のカジュアルブレザー。
これが村上春樹かあ!

思ったよりよくしゃべるなあ、話好きのおっさん風。世を避ける隠遁者のイメージじゃなかった。

最初は軽い雑談からで、中学は神戸の精道中学で、小川洋子さんが最近そこで講演したとか。
アイポッドのランニング用の音楽を開演前のBGMに流していた。
アイポッドは5個あって、一つは運転用。神奈川県警によくつかまり、累積違反の講習に行き、ボランティアっとして新横浜近くで歩行者安全の旗ふりをしたんだって。

本題は翻訳の話で、だいたいは本の中ですでに語っているような内容だった。

翻訳について話すのは気安くできるので、今回の講演を引き受けたとのこと。
自分のかいたものだと照れとかあるけど、翻訳はちょっと客観的になれるから。

丸谷才一さんのことも言及していた。亡くなった後で、息子さんから頂いた丸谷さんの英語書籍はすべて読破されていたとか、生前に村上春樹のN賞受賞用のコメントを書いていたとか。

朗読もやってくれました。
チャンドラーのロンググッドバイの冒頭部分は、騎士団長殺しの冒頭と似ている雰囲気で、比べて朗読してくれた。フィッツジェラルド、カーヴァーとか。

カーヴァーの短編ベストファイブは「大聖堂」「ささやかだけど役に立つこと」「足元を流れる深い川」「使い走り」「ぼくが電話をかけている場所」とか。
サリンジャーの「キャッチャー・イン・ザ・ライ」はサリンジャー著作管理財団から許可が出なくてできなかった。そんなことでも細かいよな。

グレース・ペイリーの朗読では川上未映子さんが出てきてやりました。
ちょうど村上春樹のインタビュー本が出たばかり。

そして今度は柴田元幸さんとの対談。柴田さんも先生ぽくなくて、そのへんのあんちゃんて感じで、身振り手振りもぎこちなさが味わいある。

話の内容は翻訳の専門的なもので、原文との訳文対比とか、聴衆も英語スキルが要求される。

カポーティの無頭の鷹の冒頭は、高校2年でその素晴らしさに感動したっていうんだけど、高校生でそこまで味わえるのってすごすぎる。