インスパイア

自然を通して心をみつめる。言葉をとおして人生を見つめる。

冬八ツ

2011-12-27 10:36:31 | Weblog
冬山は禁断の世界だったが、ついに一歩を踏み入れた。(おおげさ(笑))
いきなり八ヶ岳、しかも赤岳に挑戦した。

まずは装備を購入。ピッケルはブラックダイアモンドの65cm、アイゼンは12本爪。
登山用品店の店員(おねえさん)によると、自分の持っている登山靴(ローバー、写真を見せる)では冬山は無理という。
保温材の入った専用靴が必要だというが、値段が高い(6万円くらい)。
同行したTさんは、そんなのいらないと、とても楽観的。自分は上着はカッパですますという。

まあ最初から完璧に買い揃える予算もないので、とりあえず持ち合わせのもので済ませることにする。

前日から冬型の気圧配置で日本海側は豪雪になっている。東京でもとても寒い。冬山の寒さがどんなものか実感わかない。

Tさんの車で夜のうちに登山口まで入る。美濃戸口から林道を進むが、美濃戸直前まで来て路面凍結で進めない。泣く泣く美濃戸口まで戻って車中泊。久々に満天の星空を見る。

5時起きして40分には出発。寒さは思ったほどでもなさそう。
南沢を進む。雪が徐々に厚くなるがほとんど踏み固められている。沢は途中から凍結している。

9時前に行者小屋に到着。小屋は閉鎖している。
少し前から足指が寒くなっている。カイロを入れたがまったく暖かくない。

ここでハーネスを装填。手袋をはずしハーネスをはこうとするが、しっかりしめられずにゆるゆるする。上着のジッパーを上まで引き上げようとするが、つかめない。
この寒さで指先が効かない。紫色を帯びて痛い。いそいで手をこすり合わせて温める。

凍傷になってしまうんじゃないか、という不安がよぎる。上に登ってアイゼンをつけたり、ザイルを結んだりはとてもできそうはない。この時点で登頂は無理と悟る。とりあえず行けるところまでだ。

Tさんが地蔵尾根を探すが見つからずに行ったり来たりする。そのあとを追うのもままならない。もう無理だ。
「上まで行くのは無理そうです」

やはり赤岳は甘くなかった。冬山も厳しかった。指先が寒さで使えなくなるのがわかった。手袋もうまく機能していない。

とりあえず中山展望台をへて赤岳鉱泉へ向かうことにした。途中、大同心、小同心などアイスクライミングのルートへの足跡がある。こういう環境でアイスクライミングをするという精神力・肉体力は想像を絶する。

赤岳鉱泉まで来ると日が出て足指の痛さも緩んできた。空は晴れ渡り風もない。絶好の日和だ。
時刻はまだ10時。このまま下山することはできない。
硫黄岳に向かうことにした。樹林帯の登りはアイゼンなしで行ける。体力の衰えか、ペースが上がらない。Tさんが合わせてくれる。
稜線では風がでる。山頂まで岩稜を登り、平らな頂上に着く。道標にはエビのしっぽがつく。顔をさす風が痛い。
出目帽もしっかりしたのが必要だ。防寒対策が不十分だ。

山頂はとっとと降り赤岳鉱泉でラーメンを食べる。
アイスクライミングの練習場があり、何人か氷に取り付いている。
やってみたいと思っていたが、自分の水準はそれ以前であることがはっきりわかった。

へろへろになって美濃戸口に着く。自動車が待っててくれてありがたい。

初の冬山はホロニガ体験だった。実力や装備ふくめ不足を実感した。
それでも硫黄岳に登れたのは収穫だ。ステップ・バイ・ステップで行こう。