今回の事故は、市道を走行していた車両(甲車)が、脇道から交差点に 一時停止することなく進入した車両(乙車)に衝突されたもので、述べたとおり 甲車側が優先道路で、乙車側に一時停止の義務があったそうです。
但し、この交差点は信号機や一時停止の標識が無いうえに 一時停止を促す路上の白線も消えかかっていたとのことでありました。
ニュース映像を見ると、双方の道路は 道幅はほぼ一緒、優先道路側にセンターラインがあり そっちが優先であることは分かります。
ただ、脇道の交差点部分には信号が無く さらに「止まれ」の支柱標示も無し、さらにさらに 路上の止マレ標示もほぼ消えており、例えば初めて通った者(車)などは 状況によってはそのまま通過(交差点進入)してしまうこともあるのかもしれません(実際、乙車の運転手は 現場を初めて通ったようです)
この現場は、以前から住民らが危険性を指摘しており、地元の町内会は昨年、交差点周辺の草木が伸びて見通しが悪かったため 郡山市に改善を求める要望を出していたそうです。
今回の事故について「コリジョンコース現象」を指摘する見解があります。
「コリジョンコース現象」とは、見通しがよい交差点で 同じ速度・同じ角度(直角)で接近する2台の車があった場合、ドライバーは目の錯覚で 相手の車が止まっているように感じることがあり、そのため 交差点直前まで相手が接近してくると思わずに衝突してしまうものだそうです。
しかし 私は、この「コリジョンコース現象」もありながら もっと抜本的な問題=事故抑止のための標識の未設置と(路上標示などの)経年消滅への管理不十分を指摘せざるを得ないところです。
前掲のとおり、当該の交差点は 双方の道幅がほぼ均一のうえに(草木などで)見通しが悪く、さらに一時停止を促す標示がほぼ無い状況に留め置かれており、もし ここに適切な標識・標示がありさえすれば、乙車のドライバーは 故意でもない限り交差点に進入することはなかったのではないでしょうか。
今回の事故に際し、現場を確認した郡山市道路維持課長は「白線の改善は必要。交差点と認識できるよう赤い目印をひくことも検討する。カーブミラーの設置も有効な対策の一つだ。」と述べたことが伝えられていましたが、そのフレーズが 何とも他人事に聞こえるのは私だけでしょうか。
今回の事故の要因は 運転者の過失もあると同時に、イヤもしかしたら それ以上の事故要因として、道路標識の未設置・消滅劣化の放置にあるとも言えるのではないか、と。
かねてよりの「ここは危険だ」との指摘に適切に対応し、何らかの措置(標識の設置・路面標示の再塗布)を講じていれば こんな重大事故が起きることは無かったのではないか…と忸怩たる思いを重ねるところです。
行政には悪い癖があります。
事故や齟齬が無いうちは「予算の関係で…」などを言い訳にして現状のままを看過し、イザ重大事案が起きたときには、その翌日にでも対応措置される。
そのため「遅きに失する」を絵に描いたような〝今さらの事後対応〟が そこここで為(な)されているのです。
今回の事故においても 警察官などが現場検証を行なっていますが、その「検証」においては、運転者の過失だけを検証・追求するのでは無く、この交差点の安全のための管理が不十分であったことを(行政職員自身が)内省すべきでありましょう。
このような〝不備の実態〟は、この事故現場だけでは無く 地域の、そこいらじゅうの道路で散見されるところであり、それは長野市においても然りであります。
(いずれも資料写真)
道路標示・標識については、種別によって 公安委員会(警察)と道路管理者(自治体)とに分掌されているところですが、いずれにしても 今回の交通事故を改めての契機とし、地域に遍在する危険交差点や横断歩道などについて、そこを通行する全ての人の安全が確保されるよう、新設ならびに補修に努めるべきと強く再認識するところです。
何かあってからノコノコ改善したのでは遅いのだ!と断じる者の一人です。