二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2016明治安田生命J2リーグ第23節 徳島vs京都

2016-07-18 | 蹴球

徳島ヴォルティス○2-1京都サンガF.C.
27'佐藤晃大
 (↑内田裕斗)
33'広瀬陸斗
 (↑内田裕斗)
            64' 堀米勇輝
             (↑ダニエルロビーニョ)

[警告・退場]
・徳島
69'広瀬陸斗(C2ラフプレー)
・京都
60'佐藤健太郎(C1反スポーツ的行為)


【全体の印象】
 マッチアップで先手を打つ形になった徳島がボールを支配。サイドから佐藤晃大をターゲットにした狙い通りの形で先制。京都は堀米とエスクデロで崩しにかかったが、前懸かりになったところをカウンターを浴び再失点。後半から徳島が引いたこともあり京都が攻勢に出たが、シュートがきっちり枠に飛んだのは堀米の追撃弾くらい。終盤は猛攻するも、エスクデロの中央突破頼みで、途中出場の有田、矢島も活きなかった。戦術的な完敗で、徳島の思い通りのゲームになった。

【雑感】
■伏線
 シュートを外しまくって無得点だった前節・群馬戦を受け、攻撃陣は「何としても点を取りたい」と意気込んでいたはずだ。エスクデロ、ダニエルロビーニョは点を取りたいがために前線に貼り付く時間が多かった。これがこのゲームの重要な伏線となった。
 石丸監督の敗因の分析は的確で、「前線からのプレッシャーをほぼかけることができず、ズルズルと下がっていくという、あってはならないことが起こった」と語る。その原因は双方の布陣のズレ。特に中盤の中央と両サイドのマッチアップだった。


基本布陣では徳島は2シャドーと2ボランチがいるところに京都はアンドレイと佐藤の2人。数が足りないところを山瀬あたりは絞ってどうにかしようとしていたものの、FWが前述通り攻撃への意識が強すぎたため守備に入ることが少なく、中盤中央は完全に徳島が制圧した。一方でサイドでは京都が数的優位なはずなのだが、ここも上手くいかなかった。


徳島のシャドーがサイドに流れると、数的有利はなくなる。同数ならば先手を奪われた側が不利。しかも石櫃(本多)と堀米(山瀬)の距離が開きすぎ、内田(広瀬)が受けるスペースを与えることも多かった。徳島にはパス出しの名手・カルリーニョスがおり、彼が左右に散らすことで京都はズバズバと先手を打たれることになった。


京都はいい時は前線からの能動的な守備を見せるが、プレスがハマらない時は次の手段として4-4のブロック(上図)を布く。この一時撤退モードに切り替えられる点は、今まで失点数を減らせてきた理由でもあるのだが、このゲームでは「キーマンのカルリーニョスを自由にしてしまう」という大きなマイナスを背負った。ここでも「FWが前線から守備をすれば…」という話になる。ダニエルロビーニョも決して守備をしない選手ではないが、やはり前節の結果に対する反動が彼を前線に貼り付かせすぎた(エスクデロについては攻撃の駒として割り切らなければならない)。結果、徳島が戦術的優位を保ち、狙っていた形から思い通りの得点を挙げ、カウンターから追加点というお誂え向きの展開となった。石丸監督の言う通りで、「前半が全て」だった。


■強引
 ハマらない戦いになった中でも、堀米とエスクデロだけは通用していた。チーム全体が機能しない中で、2人だけが突出していたため、当然攻め手は偏る。後半になるとそこにアンドレイも絡むようになり、2度チャンスを作ったが、2度ともアンドレイは好機を逸した。前節同様「ここで決めておけば」という場面が多かったが、アンドレイの好機の場面は複数が絡む流れも良かっただけに悔やまれる。
 ようやく機能しはじめたダニロビの守備から堀米が個の能力で得点を挙げるが、そのダニロビが下がったあとは、一層攻撃の強引さが増した。丁寧につなぐよりは一撃狙いだったり、無理目の裏狙いだったり。「もう全部エスクデロに預けちゃえ!」だったり。強引にでも決定機まで持ち込めてはいたが、結局前半に振り回されたのが響き、終盤は消耗。元気がいいはずの途中出場組(有田・矢島)も生かせなかった。
 相手に戦術的優位を奪われ、強引に奪い返そうとしたこのゲームによく似たゲームがあった。前半戦で最も出来の悪かった第3節岡山戦だ。この時は数的不利から石櫃が起死回生の同点弾をねじ込めた。今回も石櫃が2度ゴールを狙ったが、再現はならず。「何が何でも奪う」という気持ちも大事だが、それがゆえに凝り固まり、全体のバランスを崩しては元も子もない。勝てなくなったからこそ、少し余裕を持つことも大事なのではなかろうか。