二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2012 J2第26節 町田vs京都

2012-07-29 | 蹴球

FC町田ゼルビア●1-2○京都サンガF.C.
          45'宮吉拓実
          53'中村充孝
88'北井佑季

■ジャブ&ジャブ
 連日の酷暑が続く中、どうやら本格的に大木サッカーはモデルチェンジをしたようだ。まず、完全に「密集陣形」ではなくなっている。網を狭めてからのプレスをかけるわけではなく、1人目が行ったら2人目が後続するという割とオーソドックスなプレス。全体的に走力はセーブしながらも、プレスをかける位置は高いのがミソ。前から前からプレスをかけていくのは相手にとってはジャブを連打されているようなもので、町田はこれでミスパスを積み重ねた。万一、ジャブプレスが上手くかいくぐられても、陣形は広めでなおかつ最後尾はしっかり残っているので、割とセーフティだ。
 守備でジャブを出してボールを奪ったら、時間をかけずにカウンターを繰り出すというのが攻撃のジャブ。いわゆるショートカウンターだが、中村充孝、工藤浩平、安藤淳は「預けてから追い越す」と「裏を突くパス、またはクロス」の使い方が巧みで、ショートパスの連続よりは攻撃の幅が広がった気がする。ややこしい言い方をすると、ショートパスの応酬でごちゃごちゃするサッカーがベースにあるから、一瞬でボールを展開するカウンターも成り立つ…って感じ。攻守ともにジャブを撃ち続けるスタイルに、光明が見えてきた。

■どうするFW?どうするアンカー?
 ところでこの試合の久保裕也、決して悪くはなかった。背後からの浮き球を胸トラップからシュートに持ち込もうとしたプレーなどは、まるで元アルゼンチン代表のバティストゥータのようなスケールの大きさだった。間違いなく本格ストライカーなのだが、ここ最近の大木監督のお気に入りは「宮吉1トップ」。実際この試合でも宮吉拓実の下に駒井善成・中村・工藤をシャドー的に並べ、モビリティあふれていた時間帯が最も機能した。前にもちょっと書いたが、大木監督の理想はユーロでのスペイン代表の0トップなのだろうか?宮吉を下げて本当に0トップになったが、こちらはイマイチ前線での収まり所がなく、やはり「宮吉ありき」だということが証明された格好。久保は悪くないんだけど、ショートカウンターにはムービングな前線を並べる方が合っている訳でー、今後どういう組み合わせでFWを起用するか?今日みたいに前半と後半でガラッと変えるやり方も、アリ。
 一方、秋本倫孝が2試合の出場停止、チョンウヨンが韓国五輪代表に追加招集されたアンカーも懸念のポジション。この試合は倉貫一毅が起用されたが、攻守の切り替えの速さに付いていけてない場面が目に付いた。秋本と同じ役割を与えるならば染谷悠太を前で使ってみたいところだが、そうなるとCBの枚数が足りないというジレンマ。いろいろやり繰りしながら、「ニューモデル大木サッカー」にふさわしいアンサーを見つけ出してほしい。


〈京右衛門的採点〉
水谷 6.5 …ビッグセーブ連発。自分も目測ミスからのビッグセーブも含めて、神。
安藤 7.0 …鋭いクロスで右サイドを圧倒。前から奪い取る守備でも先鋒として活躍。
染谷 6.0 …前半は平本に手を焼いたが、カバーリングの出足良し。失点場面の対応残念。
バヤリッツァ 6.5 …前で後ろでサイドで相手を潰しては仁王立ち。前に出てミスは怖かったが。
 黄 6.5 …パスは全般的に×。ただ、身体を張って相手を止める守備は強く、出色の出来。
倉貫 5.0 …ボールを受けるのも相手を追うのも穴をカバーするのも全て遅かった。ミスから失点。
中山 6.0 …倉貫が頼りないので真ん中に縛られっ放しで、縦横無尽さ出せず。怪我が心配。
工藤 7.0 …相手へのチェックが速く、ショートカウンターの肝を体現。アシストも見事。
中村 6.5 …攻撃のスイッチと町田の生殺与奪を握った。もっと残虐になってもいいかもしれない。
宮吉 6.5 …ボールを巧みに引き出して何度もチャンスを生み、先制。1トップでも生きた。
久保 5.5 …スケールの大きなプレーを見せたが、ショッツオンまで行けず。可能性は感じた。
---------
駒井 6.5 …シャドーもSBもこなす。2得点目につながった粘りは“魂”が入ったプレー。
原川 5.5 …ボールをよく拾って落ち着いたプレー。インパクトは残せず。
内藤 ――
---------
大木監督 6.5 …猛暑対応省エネスタイルにシフトし、きちんと結果を得た。