二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2016明治安田生命J2リーグ第2節 町田vs京都

2016-03-07 | 蹴球

FC町田ゼルビア△1-1京都サンガF.C.
          71'アンドレイ
          (↑有田光希)
90+1'中島裕希
(↑重松健太郎)

[警告・退場]
・町田
なし
・京都
84'佐藤健太郎(C2ラフプレー)
90+1'本多勇喜(C5遅延行為)


【全体の印象】
町田の統率の取れた守備に手を焼いた京都。攻めあぐねるうちにカウンターも浴びたが、大きな危機には至らず。前半の終盤に山瀬が負傷交代すると、代わったエスクデロの動きが潤滑油となって前線にボールが入るようになり、ビッグチャンスも生まれはじめる。71分、町田のスローインを奪った有田が持ち上がってのクロスをアンドレイがねじ込んで先制。その後は疎漏なく町田の反撃を封じ凌いだが、予想外に長いアディショナルタイムにセットプレーの流れから痛恨の失点。勝ちゲームを落とした格好となったが、内容は決して悲観するようなものではなかった。


■天空の城ヲ攻略セヨ
 天空の城といえば、昨今は兵庫県朝来市の竹田城と相場は決まっているのである。それを果敢にも野津田競技場をして“おいでよ!天空の城”と相馬を決め込んだFC町田ゼルビア。登山の末にそびえる競技場もとい天空の城に陣を張った町田の守備は、実に基本に忠実でタイトだった。そもそも石丸軍曹率いる新生京都軍は、未だ前線の有田・イヨンジェにいい形でボールを供給できないという問題を抱えているのだ。前線への供給源・石櫃も、谷澤にガンガン裏を衝かれて思うように上がれない。それでも時間を追うごとに選手の距離感は改善の兆しを見せ、前半の終盤からは徐々に敵陣でプレーできる時間が増えていった。特に単独キープできるエスクデロ投入後は、敵陣ボール滞留時間が増加。基点が1つ生まれると周囲の動きも改善するもので、54分に有田のポストプレーから石田の縦パス→イヨンジェの落とし→有田のクロスをエスクデロがヘッドでズドン、外してゴールポストをガツン!、のシーンは今季最も素晴らしい連動性あふれる形だった。いやまだ2節目だけども。
 天空の城の攻略は、相手のミスを衝いたもの。この場面は有田の機動力だったが、今まであまり持ち味が出せなかったイヨンジェの強靱な機動力も生きるようになった点は好材料。緒戦では動きが重なることもあった2トップのバランスが良くなり、味方もヨンジェの動き出し方を理解し始めた。さらにアンドレイや本多が敵陣へと駆け上がっていくタイミングもこなれてきて、攻撃面の連携不足は急速に良化しつつある。あと欲しいのは「もう一押し!」の場面でエリア内に侵入してくる遊撃兵。それは若武者・石田の役割だ。パスでボールを動かすだけでなく、自らエリア内に斬り込むフリーランが見てみたい。

■高い授業料
 最後の最後で勝ち点3を取りこぼすことになった失点シーンについては、いくつかの不運と不注意が重なった。染谷が重松のハンドをアピールして一瞬空気も緩んだこともあっただろう。判定の是非は別として、重松に対して2人、3人とアプローチをかけつつも阻止出来なかった点は、人数は揃っていたのに対応しきれなかった前節水戸戦の失点と重なる。実はこのゲームの中にも伏線があって、それは前半19分、町田のCKをイヨンジェ、染谷、イヨンジェと3度もたついてからアンドレイが蹴り出したシーン。どうもエリア内でスクランブルがかかった状態で、人数がいる時の対応がハッキリしない。逆に言えば、問題点は明確なので、それは監督が「高い授業料」と言う通り、今後の糧にすべきこと。流れの中での守備は、両SBが相手を自由にしすぎる部分は気になったが、前線からの守備意識の高さと、両ボランチが網の目を狭めて絡め取るプレスは前節以上にスムースになってきた。ただし、高橋投入3バックの名の元に実質5バックで守りに入ってしまうと、どうしても最終ラインが下がってしまう。ゲーム運びとして「ある程度強気に積極的に行く」のか「リスクを避けて締めにかかる」のか。籠城なら籠城で、奇襲とセットにして相手の背後を脅かしながら、陽動しながら守りきりたい。勝ちきるための用兵術はまだまだ熟成の余地がある。