東京ヴェルディ△1-1△京都サンガF.C.
■死せる孔明、生ける仲達を走らす
松田直樹選手が亡くなった。どれほどに素晴らしい選手だったのかは、今日8月6日に開催されたJ1、J2の試合を見ればわかる。松田と同年同月同日に生を受けた“もう一人の1977年3月14日生”吉田孝行(神戸)が素晴らしい2ゴールを奪い、松田の背中を追った熊林親吾(草津)も見事なゴールを挙げた。偉大な先輩として接した水沼宏太(栃木)や齋藤学(愛媛)もチームの勝利につながるアシスト。それぞれ試合後のインタビューで松田への感謝を語り、その姿に涙腺が緩む。
標題のことわざは少し意味は違うものの、死してなお偉大な影響力を与えるということでは同じ。それはJにとどまらず、なでしこリーグ新潟の上尾野辺めぐみとか、松田を敬愛したプレイヤーの“魂の入った”プレーは観るものの心の琴線をかきならしつづけた。
謹んで松田直樹選手のご冥福をお祈りいたします。
■受け身からは何も生まれない
翻って、この東京Vvs京都の試合は低調だった。
ヴェルディの方はそれでも河野広貴や阿部拓馬ら若手が積極的に仕掛け続け、京都ディフェンスを混乱に陥れた。いや、むしろ京都の守備が後手後手に回った感じ。ここ数日、松田直樹という稀代のアグレッシブ・ディフェンダーの事が頭にあったので、この試合は守備っぷりに注目して観ていたのだが、どうも自分から積極的に前に出て絡め取って、そのままの推進力で前へ…といったシーンがない。いや、それを試みた選手もいた。秋本倫孝や駒井善成は“狙って”いた。ところがチーム全体として受け身気味で、そのせいか秋本も駒井も単独でチェックに行ってはスルリとかわされるという悪循環。失点はそんなチグハグな守備意識の象徴のようだった。中山博貴の消極的なパスをカットされ、秋本のアグレッシブなチェックをかわされ、森下俊は後手に回ったカバーを振り切られ、森下がコースを切った部分で前に出て止めようとした水谷の目測は外れた。
しかし結果としてはヴェルディのルーズなマークのおかげで同点弾を得て、水谷の好守で何とか1-1を守りきった。しかしながら観ていても心の琴線をかき鳴らすようなプレーはほとんど皆無だった。結果も大事だけど、サッカーにはそれ以上に大事なものがある。
〈京右衛門的採点〉
水谷 5.5 …前への飛び出しは常に不安定。でも神セーブ連発。
酒井 6.0 …危ない場面でさんざん身を投げ出した男。
秋本 5.0 …テクニシャン揃いの東Vに手玉にとられる。
森下 4.5 …簡単にマークを離してしまう。ピンチ製造器のようだった。
チョンウヨン 5.0 …その守備のポジショニングはまるでアリバイ工作。
駒井 5.5 …気合いは感じるが、守備はダメダメ。意識と狙いは良い。
安藤 6.0 …崩れそうな中盤の守備を支えていた。得点もバッチリ。
中山 5.5 …内藤が入ってからは各所に顔を出す持ち味発揮。
伊藤 6.0 …だいぶ止められたけど、終始シザースで突破狙い。効いてた。
久保 5.0 …シュートチャンスもあったのに積極性不足。疲労気味?
宮吉 4.5 …パスもシュートも全然怖くない。ハッキリ言って不調。
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内藤 5.5 …パスカットや無駄走りでチームの運動量をカバー。
ドゥトラ 5.5 …強引にでもシュートに持ち込み、流れを戻す。
中村充 ――
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大木監督 5.0 …今は久保・宮吉よりもドゥトラ中心の方がいいのでは?