京都サンガF.C.○1-0●東京ヴェルディ
■勝負の分水嶺
それはまるで分水嶺のようだった。前半、東京Vアポジがフリーで放ったシュートを染谷悠太が顔面ブロックで防いだシーンである。あの時点でヴェルディに得点が入っていれば、もしかすると3~4点を奪われていたかもしれない。それほどヴェルディの動きは良かったし、京都は受けに回ってしまっていた。前半、アポジのちょっとダーティな圧力に福村貴幸が屈しなかったのも小さな分水嶺。そしてもしヴェルディ富澤のヘッドを宮吉拓実がゴールマウスの中でクリアできていなかったならば、水は南へと流れ出ていたかもしれない。そういった勝負所をしのぎにしのいで、なんと6連勝。6試合で簡単に勝てた試合は一つもない。幸運によって成り立っているのだが、幸運を引き寄せているのも「あきらめない気持ち」があるからに他ならない。
■目標はどこだ
この試合の前に札幌と徳島が勝利したため、京都サンガの昇格の可能性は消滅していた。思えば序盤でのつまづきが痛かった。特に北九州と岐阜に逆転負けした試合。あの2試合がなければ…と思ってしまうのだが、それは違う。ああいう「勿体ないゲーム」を経験して、苦い思いをしたからこそ、今がある。苦い思いをした分、成長した。特にこのチームではベテランに入るのにイマイチピリっとしなかった中山博貴。勝負に対する厳しさや、試合運びのツボを掴んだ。そしてもう一人は大木監督。本当に甘い試合運びが多かったが、ようやく用兵が安定してブレなくなった。もちろん工藤という手駒が戻ってきたのも大きいのだけれども。
目標は、天皇杯で山形を破り、鹿島と実力を比べること。これが未来への試金石となるはずだ。
〈京右衛門的採点〉
水谷 6.5 …バタバタしながらも無失点続きを支える最大の功労者。
酒井 6.0 …パワフルに右を躍動したが、危ない奪われ方も。
内野 6.5 …巻に対して高さで負けず、シャットアウト。
染谷 6.5 …カバーにブロックに抜群の動き。また脳震盪??
福村 5.5 …アポジ&河野にやられっぱなし。よく持ちこたえた。
チョンウヨン 6.0 …守備に追われるが八面六臂な活躍。
中村充 5.5 …押された時間に個人技で打開するも、破れず。
工藤 5.5 …得点アシストは見事だったが、その前のチャンスは決めないと。
中山 6.0 …今日も運動量たっぷりの黒子役。
宮吉 6.0 …守備で奮闘。動きは良かったが、ボールは余り引き出せず。
ドゥトラ 6.0 …今日のチャンスメイク担当。守備もがんばった。
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秋本 6.5 …スクランブルだったが、球際で奮闘。
中村太 7.0 …左サイドにボールの橋頭堡をつくり、自ら決勝ゴール。
金成勇 ――
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大木監督 6.5 …この試合へのモチベーションを上手く保ち、采配ズバリ。