二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2012 J2第24節 熊本vs京都

2012-07-15 | 蹴球

ロアッソ熊本●0-1○京都サンガF.C.
          81'中山博貴

■やっぱり不調のまま
 ずっと勝ちがなく、歌うことを忘れた小鳥のようになってしまった京都サンガ。この日の前半はそんな不調ぶりをトレースしているかのような内容だった。理由は割とハッキリしている。それはたぶん相手の圧力の方が上回っているから。象徴的なシーンがあった。前半33分ごろ、宮吉拓実が中盤で競って、追い越していた工藤浩平にいいボールを落とした。工藤はそのボールを待って受けようとしたが、熊本は掻っさらうかのようにそのボールを奪い取ってカウンターに入る。ボールが回らない…というのはこっちの勝手な目線だが、サッカーは相手がいる競技。相手の方が圧力が強いので、ボールを簡単に奪われるのだ。ボールは回らないのだ。
 おまけに熊本もさすがに心得たもの。奪ったボールをすぐに右へ左へ振り回し、京都の陣形が自崩するのを見越して早いクロス。これまでの「勝ち無し」試合同様、いつ失点してもおかしくないヒヤヒヤな流れだった。

■起点は機転
 選手を密集させてショートパスで崩すという戦い方は、別にいい。ただ、それを遂行するためにどうしても運動量が必要。走りが足らずに中途半端な密集度になることがパスミスを増やし、奪われたらすぐに駆け戻るというジャブのような負のスパイラルに、またしても陥るのだ。だが、右サイドの安藤淳だけは前半から駆け上がってはポンポンと簡単に中にクロスを入れていた。あるいは、チームとして意思統一できてないのか?と思った。だが、それは機転だったこと気づく。後半、チームは安藤がやろうとしていた「もう少しシンプルに」というやり方に舵を切る。複雑にチョコマカ動いてナンボの駒井善成を、守備の負担を削ぎ落としたチョンウヨンに変えてからその道筋は明確になった。ボールを持ったらとりあえず宮吉を動かす。そこを突破口に誰かが追い越していく…。熊本の運動量がガクッと落ちたこともあり、後半は面目躍如するほどの攻勢を見せつけ、なんとか勝ち点3を奪い取ることができた。
 まだまだ復調とまでは言えないが、夏場の戦い方のヒントはこの試合にあったはず。最後に、とんでもない豪雨被害の中で勇敢な戦いを見せたロアッソ熊本を讃えたいと思う。正直、水谷雄一がいなければ勝利は熊本のものだったに違いない。


〈京右衛門的採点〉
水谷 6.5 …ピンチを救う好セーブ連発。最後尾からチームを鼓舞し続けた。
安藤 6.5 …局面打開を狙ってシンプルなクロスを上げ続け、攻め立てられると帰陣も早かった。
染谷 5.5 …遅れてタックルに入ったり、ズッコケたり。プレーが曖昧で、ふわっとしていた。
バヤリッツァ 6.5 …激烈なまでに前で奪う守備を貫徹。守備から攻めの姿勢を見せた。
福村 5.5 …守備では出足が遅く、攻撃ではクロスの質イマイチ。粘り強かったけどね。
秋本 5.5 …守備面では奮闘。ただ、セットプレーで競り負けるシーンとフィードミスが残念。
工藤 6.0 …消えてる時間も多かったが、ボールに絡むとチャンスを生んだ。
中村 6.0 …マークがきつく仕事させて貰えなかったが、相手がバテると活き活き。
中山 6.5 …フリーマンとしてピッチを縦横無尽。神出鬼没で攻守のツボをしっかり抑えた。
駒井 5.0 …動きが他とかぶるシーンが散見し、FWとしての競り合いの場面では全敗。
宮吉 5.5 …前半はミス多発。後半、徐々に精度を上げてチャンスを生み続けた。
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チョンウヨン 6.5 …守備の負担がないせいか、悠々とボールを捌き、積極的に攻撃に絡んだ。
 原 4.5 …短い間でもチャンスはあったが、消極的なプレー。追加点のチャンスもフイに。
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大木監督 5.5 …久々の勝利だが、決して褒められた内容ではなかった。