二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2016明治安田生命J2リーグ第42節 長崎vs京都

2016-11-21 | 蹴球

Vファーレン長崎●0-2京都サンガF.C.
            21'山瀬功治
            (↑TI石櫃洋祐)
            57'イヨンジェ
            (↑GKこぼれ←エスクデロ競飛王)

[警告・退場]
・長崎
37'李栄直(C2ラフプレー)
85'中村慶太(C3異議)
・京都
なし


【全体の印象】
 序盤から積極的にボールを支配した京都は縦へのロングボールを主体に長崎の最終ラインの裏を衝く。ペースを握った時間帯で、石櫃のロングスローがアンドレイの頭を越えたところに山瀬が入り、ヘッドで押し込み先制。ここから京都はコンパクトな陣形を保ちながら、人とボールがよく連動するサッカーで長崎を圧倒。後半も京都は手を緩めることなく速攻と遅攻を繰り返しチャンス作る。追加点は最終ラインからボールを速く動かす組み立てから、ダニエルロビーニョの抜け出し・シュート→こぼれ球をエスクデロシュート→そのこぼれをイヨンジェが詰める速さと厚みのある攻撃。長崎も反撃に出るが、京都守備陣は総じて落ち着いて対応。87分畑のシュートがポストに救われる幸運もあったが、終盤下畠を投入する逃げ切りモードもテストしつつ完封勝利。チーム自体の気合い乗りの良さも、選手個々の好調さも、そして運の良さ(←重要)も目立ち、プレーオフに向け視界良好といえる快勝となった。


【雑感】
■充実一途
 前節、石丸監督が「何も残らないようなゲーム」と評した敗戦が危機感を植え付けのか、再び闘志に火が付いた。「個でもチームとしても力の差を感じた。試合に入った時にかなり相手が強いなという感じがあって」と長崎の神崎大輔が語る通り、京都は立ち上がりからきっちりと本気モード。攻守に能動的で、最終ラインは強気に押し上げて陣形をコンパクトに、奪えば縦に早く動かしアタッカーたちはどんどんとスペースへと動き出した。攻撃的といってもただ闇雲に敵陣に殺到するのではなく、落ち着いてキープしたり、回しながら相手を動かしていく余裕もあり。惜しくも得点には至らなかったが複数人数が連動して生んだ決定機も多く(38分イヨンジェの突破&クロスの場面とか)、さらにはパスの出し手と受け手の関係性だけで作った決定機(31分本多勇喜→エスクデロ競飛王滑るや64分のセル→ダニエルロビーニョGKに蹴られるとか)、自陣の守備を転じて一気に敵陣を陥れようとしたカウンター(46分ダニロビ→セル→ヨンジェ→山瀬功治)など、「好機到来!」のタイミングで発動する攻撃意識に躊躇はなかった。
 攻撃の良化のベースには、セルが「京都の守備は本当に強いと思うし、得点さえ取ることができれば確実に勝てるという自信がある」と信頼を寄せる守備の安定がある。強気にラインをコントロールしたCBはもちろん、このゲームでは特に両SB・本多と石櫃洋祐の守備での奮闘ぶりも目立った。ボール奪取の肝といえるアンドレイと吉野恭平の心臓部はもう長年コンビを組んでいるかのようにバランスがいい。さらには本職はFW・ダニロビの守備面での働きも出色。愛媛戦でつまづいたことを糧として消化し、チームは今、充実の一途を辿っている。

■臨戦
 プレーオフの相手は“望み通り”セレッソ大阪となった。今季対戦は1勝1分1敗(1敗は延長分)で、6得点5失点(うち1失点は延長分)。昨年も石丸体制での初勝利を挙げており、嫌な相手というイメージはない。リーグでの勝点差は9もあるが、(条件付きで)全部チャラになった。ラッキーである。儲けものである。プレーオフとはそういう上位に不条理なシステムであることは、プレーオフ進出回数最多を誇る我々と盟友千葉は痛いほど知っている。
 上位側は、どうしても「負けられない」という追われる立場の気持ちになるが、下位側は「サッカーの神様が与えてくれたチャンス」とポジティブに受け止めればいい。セレッソはもちろん強力な個を持つ難敵。しかし京都は現時点で最強の清水エスパルスを手玉に取れる(※前半のみ)ほどの組織力を持つ。自分たちの力に自信を持っていい。現状そういうピークのチーム状態まで持ってこられている。思えば前年度17位のチームだ。そこから、この長崎戦をみてもわかる通り石丸監督は本当に素晴らしいチームを作り上げてきた。選手はそんな監督の手腕を信じていいし、監督は選手を信じていい。攻撃陣は守備陣を信じ、守備陣は攻撃陣を信じて思い切りプレーすればいい。もちろん相手を分析することも大事だけれども、39節清水戦の前半や40節熊本戦、そしてこの長崎戦のサッカーができれば、おのずと結果は付いてくるはず。まずは自分たちの力を存分に発揮するために、臨戦態勢を整えたい。