二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2016明治安田生命J2リーグ第32節 横浜FCvs京都

2016-09-19 | 蹴球

  横浜FC○2-0京都サンガF.C.
13'イバ
 (直接FK)
58'イバ
 (↑野村直輝)


[警告・退場]
・横浜
5'イバ(C2ラフプレー)
15'佐藤謙介(C1反スポーツ的行為)
72'楠元秀真(C1反スポーツ的行為)
・京都
35'山瀬功治(C2ラフプレー)
48'菅沼駿哉(C2ラフプレー)
67'本多勇喜(C3異議)


【全体の印象】
 立ち上がりからアグレッシブな姿勢を見せたのは京都だったが、ロングボールの競り合いでイバを染谷が倒したFKをイバがテクニカルに決めて横浜が先制。取り返したい京都は攻撃陣が前に出ていくが、バランスが崩れ、後ろは不安定になった。後半、前がかりのまま奪えないうちに最終ラインはイバの猛威に対応しきれなくなり、58分には内田、菅沼が野村、イバの切り返しに立て続けにかわされ痛恨の2失点目。その後サイドからのクロスから2度PKのチャンスを貰ったが、キロス、エスクデロのPKは南に阻まれ、反撃の狼煙も上げられず。必死にもがいたが、もがけばもがくほど首を絞められるように苦杯を舐めさせられた。

【雑感】
■足元グラグラ
 前節の敗戦を受け、攻撃的な姿勢で臨んだものの、先に失点を許したことで、さまざまなブレや焦りを生じさせてしまった。攻撃陣の意識が「何としても奪い返したい」と前がかりになる一方で、最終ラインはイバの個の強さ・巧さに対処しきれず。また攻撃的起用だった内田の裏には、大きな穴が空いて散々野村に使われていた。そんな時にアンドレイも攻撃に参加しがちだったため、中盤のバランスも悪化。守備はいわば土台であり、攻撃はその上に乗っているもの。足元がグラグラしているのにジャンプしようとしても、高くは飛べはしない。
 2失点目は人数は足りていたものの浮き足立っていた守備陣が野村やイバの仕掛けに脆くも崩れた形。これで攻撃陣の焦りも拍車がかかり、組み立てやラストパスのミスが目立った。PKについては「運」の部分もあるが、チームを覆い尽くす「焦り」が余裕や平常心を失わせていたという面も否定できないだろう。
 前節の敗戦を受け、アグレッシブに出直そうとしようとしたところで、守備の脆さが出てしまうという皮肉。「もったいなかった、自分たちから壊れてしまったようなゲーム」と石丸監督はコメントするが、チームとして一段階脱皮することの難しさを、監督自身痛感しているに違いない。

■守破離(しゅはり)
 武道や芸事における進歩の過程として、「守」「破」「離」という言葉がある。「守」は先人から伝わった基本的な型を守って叩き込む段階。石丸監督は今季の前半戦を費やしてこの「守」を体現するようなチーム作りをしてきた(守備的、という意味ではない)。すなわち、失敗を糧にチーム全体の共通意識や危機意識を深め、簡単には失点させない守備、簡単には負けないチームを作ることができた。「破」は基本的な教えを破り、別のアイデアを取り入れながら精神や技術を進化させる段階。今風に言えば「限界突破」。今の京都はここに差し掛かっていて、3バック(5バック)の実効的運用や高さ勝負などを取り入れようとしているところ。がしかし、ここで停滞している。出場停止や怪我人が重なって、主力に疲労がみえるということもあるが、戦術の幅を持たせるどころか、「守」の段階で叩き込んだ基本を忘れているようにも見える。
 リーグ戦が終盤に差し掛かり幸か不幸か昇格圏内にいるため、否応無しに「実(勝ち点)」を取ることを求められる中、残念ながらまだチームの成長が追いついていない。一足飛びにチームを進化させようとすると、当然ひずみが出る。積極性を出そうとしても、焦っているようにしかみえないのもそのせいか。
 ちなみに最後の「離」は師の教えを離れて独自の境地まで到達させる、というもの。サッカーならば誰の真似でもない独自のスタイルを手に入れることになるだろうか。それはともかく、チームとしてどんなチームを目指すのか今一度見つめ直したい。ボールを速く動かすチーム、人がたくさん動くチーム…など、限界突破のルートはたくさんある。もう突き進むという選択肢しかなくなって、視野が狭くなってしまう前に。