二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2011J2第9節 栃木vs京都

2011-04-30 | 蹴球

栃木SC○1-0●京都サンガF.C

■対キツツキ
 軍師・山本勘助が川中島合戦で武田信玄に献策したと言われる「啄木鳥(キツツキ)戦法」。右を攻めて相手がそれを防ぐ間に主力を左に移して、手薄になった左を攻める。それを繰り返せば敵が右往左往して崩せる…というやつ。
 サッカーではこれと同じやり方が結構メジャーな戦術で、特に個の破壊力では劣るが走力に優れる下部リーグ・J2を勝ち抜くにはもはや定番化した戦術だ。今日の栃木SCはまさにキツツキだった。ボールを右へ左へ動かし、ピッチの狭いエリアを使いたい極端なクローズ戦術をとる京都サンガを右へ左へ。京都は、もう出だしの時点で後手を踏んでいた。失点までわずか2分半。リカルド・ロボの高弾道シュートは防げないほど見事だったが、中途半端なクリアを拾われている事は大問題。精神的に後手を踏んだ状態で、繋ぐサッカーへの意識が悪い方に出た。


■上杉謙信は車懸り
 開幕戦の時、大木サンガを武田の騎馬隊に例えたのに、今度は相手を武田のキツツキに例えるのか!…と自らツッコミを入れた上で、歴史上キツツキ戦法は上杉謙信によって見破られます。その謙信が得意としたのが、車懸り戦法。部隊が円状になって、Aがアタック→間髪入れずにBがアタック→次はCが→そしてDが…というぐるぐる回転しながらの連続攻撃。これをサッカーに当てはめると、クローズな戦い方になる訳です。
 ところが、今日の京都はクローズな戦い方すらできてなかった。相手がピッチを広く使うもんだから(そして先に失点したもんだから)、相手の戦術に引っ張られる格好で中山・加藤・森下・内野という4人がそれぞれのサイドに開いてしまう。すると中央はスカスカ。リカルド・ロボに入ったクサビに対応できないばかりか、少ない攻撃のチャンスにも「味方が遠い」という状態。車懸りは味方が近くにいて、連携しないと成立しないのだ。だからパスが通らない。それを見越した上でキツツキ仕掛けてきた栃木SC松田浩監督の圧勝といえる。

■完敗!
 完敗の原因はほとんど采配。だから大木は駄目だ!と言っている訳ではない。相手が今やろうとしてるクローズサッカーと相性が悪いやり方で出てきた時、どうするのか。たぶん、理想はそれをもブチ破ってしまう破壊力を手にすることだ。車懸りのように短いパスを繋ぎながら前へ前へと侵入する。人数を集中させて一気に中央突破できるようなサッカーができるなら、そんなチームはめちゃめちゃ魅力的だ。
 ただ、現代サッカーは時間とスペースがない。逆に言えば、時間とスペースの使い方の上手い監督のいるチームは勝ち点を積み上げられる。今日の試合で現実突きつけられて、割と難しい岐路に立たされたと思うのだが、たぶん次の試合も同じ方法でやるんだと思う。
 じゃあ、クローズな戦い方するんなら、それを貫徹しなきゃ。相手の出方に面食らってたら、成るものも成らない。

 最後に一つ。今日のジャッジがちょっとありえないような出来。どうみてもオンサイドなのに旗を上げてみたり、京都側にカード出したのと同じレベルの栃木のチェックはファウルすら取らなかったり…。まぁ、それもサッカーなんだけど、基準がおかしかったせいでゲーム内容自体が粗末な物になってしまって残念。


〈京右衛門的採点〉
水谷 5.5 …セーブは無難。声で最終ラインの統率を。
内野 4.0 …失点シーンも、カード×2もいただけない。
アライール 4.5 …チェックの行き方が無秩序で、穴を作ってた。
森下 5.5 …比較的マシな出来だが、常に後手後手。
安藤 5.5 …前半は孤立無援集中被弾。10人になってから奪取&展開力を発揮。
加藤 5.5 …プレスキックは正確無比。内野のカバーで攻撃参加少。
中山 5.0 …綻びの修正に終始し、パスの組み立てに参加できず。
中村充 4.5 …全く機能せず。動きの量も少なすぎ。待ってるだけではダメ。
ドゥトラ 5.5 …10人になってからは個の力で局面打開。
久保 5.0 …シュートは惜しかった。今日の状況は難しかったか。
宮吉 5.5 …裏狙いはことごとくオフサイドジャッジ。
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ディエゴ5.0 …キープ力発揮できず。途中出場で消えていた。
駒井 5.0 …ドリブル突破は見事だが、低い位置でボールロスト多い。
内藤 5.5 …投入によりある程度中盤は活性化した。
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大木監督 4.5 …常に後手後手。柔軟にシステム変更してもよかったのでは?