二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2011J2第8節 京都vs岡山

2011-04-24 | 蹴球


京都サンガF.C.○2-1●ファジアーノ岡山


■J再開!時間を味方にできたか?

 仙台の劇的勝利によって、Jリーグ再開が鮮烈なニュースとして一筋の光を放った土曜日。サッカーにおける精神力のウェイトの大きさを感じずにはいられなかった。背水の陣という言葉がある通り、逃げることなく勇敢に前へと進むことが生み出す“強さ”には心を奪われる。
 対して、そういうギリギリの状態からは距離があった西日本のJクラブ。しかも開幕戦で結果が出なかった京都と岡山にとっては、1ヶ月半の猶予が与えられた格好。どこまでチームとして熟成できたのか?それが問われる一戦だった。



■中村充孝という才能の活かし方

 雷を伴う豪雨で30分遅れてキックオフ早々、サイドに流れた17歳2種登録の久保裕也が倒されFKをゲット。加藤弘堅のグイッと曲がる山なりクロスを宮吉拓実が頭で落とし、相手人数の薄い位置で拾った中村充孝が鋭いグラウンダーでシュートを突き刺した。今日の序盤、中村充孝は王様だった。ボールを持たせたら抜群のテクニックで相手を翻弄し、保持しながら時間もつくれる。前が詰まってたら咄嗟のフライスルー…同じ中村姓のテクニシャン、中村俊輔のデビュー当時を彷彿とさせた。
 ところが、岡山がプレッシングのコツをつかみはじめると、京都は中村充孝をあまり経由できなくなる。攻めのアイデアが枯渇して、動きもうまく潤滑しない。後半再び中村充孝がボールに絡みはじめてから、ショートパスが繋がるようになった。久保裕也が17歳にして挙げたプロ初ゴールも、久保→中村充→久保という見事な連続プレーの末の産物。相手を引きつけながらボールを失わず、なおかつ鋭い所を狙って出せる才能を活かさない手はない。ただし中村充孝にはこのタイプの先輩達がそうであったように、どうやら「消える時間帯」がある。それを無くして精力的に顔を出せる動き方ができれば本当の王様になれるはずだ。



■猪武者

 猪突猛進。いい意味と悪い意味があって、今日の京都で誰が猪武者だったかといえば、ドゥトラだろう。後半、自陣ゴール前で奪ってセンターラインを越え、猛進しながらシュートまで持ち込んでCKを取ったシーンがまさにそれ。彼の直線的ドリブルは非常に効果的で、ともすれば単調になって読まれやすいパスサッカーにこういう猪を1枚噛ませておくのは悪くない。最後に出てきた伊藤優汰が曲線的なドリブラーなので、2枚同時にやられると相手も嫌だろう。
 一方、悪い意味の猪武者プレーが失点シーン。岡山の放り込みに対して、ポストに入った2選手に対して3選手くらいがワッと突進してしまった。折り返されたところは空白地帯。この日鋭い動きを見せていた白谷健人には得点は容易なシチュエーションだった。放り込み→ポスト→失点というのは開幕の水戸戦と同じパターン。それでけでなく、どうやらこのチームではもはや定番ともいえる失点パターンの模様。猪のように群がる癖は修正しなきゃ、怪物オーロイに3人くらい付いてる裏から深井やらに飛び込まれて失点するシーンが目に浮かぶ。



■やっぱり勝利こそ薬

 若いチーム特有の試合運びの拙さはあったものの、全般的には悪くなかった。絶望的なパスミスとかもなかったし、精度は日に日に上がっている。後半の2点目前後のパス応酬シーンはそれは楽しいサッカーだった。若いチームには結果こそが自信を生み、自信こそが推進力。まず1勝。ここからがスタートだ。



〈京右衛門的採点〉
水谷 6.0 …何度かいいセーブでチームを救う。
内野 5.0 …徹底して裏を狙われ、失点の遠因に。
アライール 5.5 …もしかしてセットプレーに弱い?
森下 6.0 …適切な状況判断できていた。
安藤 5.5 …もっと相手の攻撃の芽を摘めれば。
加藤 6.0 …攻撃面はよかったが、守備で内野を助けないと。
中山 5.5 …無難だが、挑戦するプレーもほしいところ。
中村充 6.5 …1ゴール1アシスト。圧倒的なテク。消える時間が残念。
ドゥトラ 6.0 …いい意味での異分子。守備もよく走ってた。
久保 6.0 …見事な得点感覚。チャレンジする姿勢もよし。
宮吉 5.5 …ボールを収めることに終始。フィニッシュに絡みたい。
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伊藤 6.0 …持ったらドリブル。相手を混乱に陥れる。
内藤 ―
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大木監督 6.0 …相手が意外な出方も、後半で適切な修正。