二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2011J2第10節 京都vs鳥栖

2011-05-04 | 蹴球

京都サンガF.C△0-0△サガン鳥栖


■縦へのスピード

 鳥栖の攻めは実にシンプル。奪ったらルックアップしてサイドに開き、前に人が入ってこれるようであれば、すぐにクロスを入れる。途中、人を経由しないのでスピードがあるのだ。
 対する京都。今日も奪ったら味方を探して預け、そこから選択肢を広げて、人を経由してボールを運ぼうとするパスサッカー。しかしこれは各駅停車だ。流麗であればよいのだが、それは川の流れがそこで停滞するように淀んでいるようなもどかしさの残るもの。相手にすれば淀んだ流れを狙えばいいのだから、楽だっただろう。たまに駅を飛ばす快速電車であればよかったのに…。


■野武士サッカーの萌芽?
 結果として全体を見れば「淀みのあるパスサッカー」でしかなかったが、一人だけ別次元の選手がいた。ディエゴ・ソウザだ。この日のディエゴは3トップの一角というより、トップ下に回ってみたり、中盤に降りてみたり、自由にピッチを泳ぎまわり、「ここぞ!」という場面で味方に預けて最高速に乗ったまま追い越してピッチを縦に切り裂いた。
 全体的に流れが淀んでいたからこそ、ディエゴの縦突破は切れ味抜群だった。常に警戒していなければならない存在なのに、目を離したスキに突如現れるその姿は、まるでビンラディンのようなゲリラ…いや野武士だ。どんどんと人を追い越してくる動きは、この日鳥栖を崩す最大の武器だったのだが、それに続く野武士はいなかった。


■失うものとは?
 相手が10人になってから、ロスタイム含めて約20分もの時間があった。数的優位に立ちながら、この日の京都はリスクを恐れすぎた。途中出場の17歳久保は最前線で果敢に裏を狙い、ゴールを狙ったプレーを見せてくれたが、全体的に運動量を欠き、チャレンジを試みる選手もほとんどいなかった。このサッカーは一人がチャレンジしても、それに連動してチャレンジする選手がいないと成り立たない。失点が続き、1点取られるのを何とか食い止めたいのはわかるが、それがゆえに「つまらないサッカー」に終始したことを監督はどう考えるのだろう。J2下位に沈んでしまったこのチームに今、失うものがあるのだろうか?
 チャレンジしないならば、いっそドン引きで縦ポンカウンター狙うサッカーの方がいい。そんなサッカーみたくないから、チャレンジし続けてほしいと思うのだ。


〈京右衛門的採点〉
水谷 6.0 …ダミ声コーチングで無失点ゲームを支えた。
アライール 6.5 …阿修羅のごとく危機回避。良い荒井さんだった。
森下 6.0 …相手2トップの動きを察知しながらカバーリング。
福村 5.5 …侵入は抑えるが、ロングボールの対応は冷や冷や。
加藤 6.0 …右SB気味ながら攻撃にもよく顔を出す。
チョンウヨン 5.0 …守備面○だが、繋ぎ役としては不満。
内藤 5.0 …守備を意識しすぎたのでは?もっと球に絡めたはず。
中村太 4.5 …動きが一本調子。シュートミスももったいない。
ドゥトラ 5.5 …突破は効いていたが、がっかりミスパス散見。
宮吉 5.5 …中央で基点を作ろうと奮闘したが負傷退場。
ディエゴ 6.5 …キレキレ。パワフルな追い越しは脅威的だったが…。
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中村充 5.0 …ボールに絡むとチャンスになったが、素走りの質低。
久保 6.0 …鋭く裏を狙い、チャンスを広げた。
安藤 ―― …
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大木監督 4.5 …数的優位をまったく活かせず。もっと攻めてよ!