カターレ富山△1-1△京都サンガF.C.
■忍者な男
「乱破(らっぱ)」という人たちがいる。敵中に潜み、情報を操作したり、いきなり敵前に現れてズブッと刺したり…。いわゆる「忍びの者」「忍者」だ。サッカーにもこういう働きをする隠密たちがいる。今ならガンバ大阪の二川や川崎フロンターレの小林悠なんかが典型的だろうか?彼らはとにかく敵の視界から消える動きこそが真骨頂。京都の内藤もそんな忍者一族に入れてもいい選手だ。
この試合の1点目はまさに忍者ムーブからのボレーだった。中央には存在感抜群の久保が待ち受けてて、富山は3人が引きつけられていた。視線が久保に集中した途端に、ファーに入って伊藤のクロスをズバッと叩き込む。お見事! そして隠密として一仕事したあとは、またしばらく消えてしまったのであった。
こういう「忍者一族」は、その隠密活動をしっかり感じて、上手く使える選手が味方にいないと意味がない。もっと上手く使ってあげて!
■対局的に見てみれば
ところでこの試合、大木・安間両指揮官による師弟対決だった。お互い手の内を知り尽くし、似たような布陣。どんな知恵比べかと注目していたが、最初は大木が仕掛けて安間が受ける展開だった。ただし、安間は奇策を打っていた。京都の伊藤優汰の突破力に手を焼いてると思いきや、伊藤が上がったスペースを狙っていた。伊藤は将棋で言えば「香車」。そこに斜めに入り込む「角」を徹底的に打ったのだ。富山の攻撃はほとんど京都の右を狙ったものだった。
「角」が盤上を攪乱し、ペースは富山に流れた。もう一点、内藤が「忍者」であることは攻撃時には強みなのだが、常に消えようとしてるため、セカンドボールの場面で顔を出せずに数的優位を放棄し、富山がこれを拾う場面が多かった。伊藤にしろ内藤にしろ、良い部分を出そうとすると、裏面があって、安間はそれを全て知ってた感じ。さすがはスカウティングの鬼。
安間はその後も先手、先手に手を打ってきた。対する大木は「香車」・伊藤を狙われたから福村、宮吉が基点をつくれないから中村充と、後手後手。相変わらずドゥトラという「飛車」を使うことなく、どうも煮え切らない局面を終えたのであった。
〈京右衛門的採点〉
水谷 6.0 …後半、シュート打ちまくられるもなんとか耐えきった。
酒井 4.5 …簡単にクロスを上げさせて、競り負けて、良いところなし。
安藤 6.0 …抜群の読みの良さで何度もインターセプト。
森下 6.0 …粘り強くブロックし、駒井とのコンビネーションも○。
チョンウヨン 6.0 …中央防波堤としてよく相手を止めていた。
伊藤 5.5 …攻撃◎、守備△。これは致し方ないよね…。
内藤 5.5 …忍者プレーからの美ボレー。顔を出せばチャンスになるのだが。
中山 6.5 …とにかく奮闘に次ぐ奮闘。ヤバめの時間帯にチームを支えた。
駒井 5.5 …相変わらず積極的だけど、決定的な仕事にならず。守備にも奮闘。
久保 5.5 …相手の脅威だったかと思うが、色気出し過ぎな気も…。
宮吉 5.0 …いい流れを止めてしまうプレーを連発。早めに諦めてもよかった。
---------
福村 5.5 …守備対応で入ったけど、攻撃も効いていた。新しい選択肢?
中村充 5.5 …惜しいドリブルや久保のシュートを引き出すタメなどで活躍。
加藤 ――
---------
大木監督 5.0 …積極的という言葉を使う割に、采配に積極性が乏しかった。
あと
豊田麻衣 8.0…最高