二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2013 J2第14節 京都vs群馬

2013-05-12 | 蹴球

京都サンガF.C.○2-1●ザスパクサツ群馬
19'山瀬功治
70'染谷悠太
          77'永田亮太

■メニューの多い食堂
 去年までならば『京都のサッカー=密集、ショートバス、ハイプレス』…こんなワードを使えば語ることができたかもしれない。ところが今現在は、何かのキーワードで一括りにできるようなものが正直見当たらない。良さげな言葉を使ってみれば「壁を乗り越えようとしている」、悪い言葉ならば「迷走」。ザスパクサツ群馬とのこの試合は、そんな現状を象徴するようなゲームになってしまった。時にはショートパスもつなぐ、しかし積極的にポゼッションはする訳でもなく、長いボールを蹴って前線を走らせてみたり、パス&ゴーを狙ってみたり(けれど意図が合わない)、アーリークロスを狙ったり…。守備の方も人数をかけて密集を作る訳でもなく、連動してプレスに行くというよりは田森大己を中心としてセーフティでオーソドックスな守備を見せたと思えば、思い出したように連動プレスをかけてみたり…。正直「どんなサッカーをしたいのか?」というのがよくわからない有り様。パスひとつとっても長短いろいろ混ぜようと多彩な攻撃をやろうとしているんだけれども、それが統率されていなくてバラバラ。まるで壁にズラッとお品書きをぶら下げて、魚料理やら肉料理、焼き物、揚げ物、煮物に刺身、一品モノからおつまみまでいろいろ取り揃えている食堂のよう。去年まである意味「牛丼一筋」的な頑なさがあったのだが、今はいろいろ手広くやろうとしてどれも名物になりきれいない…そんな「しっくり来なさ」を感じ、戸惑っているのである。
 ゲーム自体は山瀬功治のアッと驚くようなタイミングでのミドル、そしてセットプレーから染谷悠太のヘッドと、ある意味飛び道具的な2発でリードを奪って勝利できたからいいようなものの、内容的には「多彩さ」ゆえに薄めだった味付けにに後味の悪さをというか、喉ごしの悪さを感じた。満腹になればそれでいい人には、それでいいんだろうけど。


■背骨を作れ
「勝っただけ」という勝利で、流れの中でゴールに迫っる場面も非常に少ない試合だったが、今後に生かしてほしいと思える部分もあった。それは後半に見せた田森=工藤浩平=横谷繁(=三平和司)というセンターライン。田森は終始アンカー的にボールをよく拾えており、コンビを組む工藤は低めの位置から小気味よくボールを捌くことができていた。そこに絡んでくるのが横谷。横谷は最前線に張っていた前半は今ひとつボールの収まりも悪かったが、後半になると前線から降りてきてボールを受け、ゲームを組み立てていくようになってキープ力も展開力も生きるようになった。横谷が下がることでその分相手のマークも薄くなれば三平も楽になった。この縦のセンターラインを背骨として、福村貴幸or安藤淳が追い越していく攻めには可能性を感じた。ただし、コンビネーションはまだまだ構築中レベルで、改善の余地はまだまだ多い。特に駒井善成はまだまだ迷っているように感じた。
 ただし非常に気になるのは、ボールを奪ってからの反転攻撃のスピード感の無さ。攻撃の手段も選手の使い方もいろいろなパターンはあるだろうけど、結局大木監督が2年間積み上げてきた中でも最も大事なものは“攻守の切り替え”なのではないのか、と。継ぎ足し継ぎ足しで醸してきた秘伝のタレだけは捨てないように、しっかり「昇格」というのれんを守り続けてもらいたい。



〈京右衛門的採点〉
 オ 7.0 …再三のナイスセーブでゴールを割らせず耐えたことが辛勝を呼び込んだ。
安藤 5.5 …安全運転で、守備偏重気味。カバーは良かったが、攻め上がりは少なかった。
染谷 6.5 …危ない場面でストップする場面が目立つ。田森とのコンビネーションも良好だった。
バヤリッツァ 5.5 …個の能力でよく跳ね返し、強さを見せたが、失点シーンのクリアは安易だった。
福村 6.0 …高い位置で奪う守備が目立ち、攻撃にも積極的に絡んだ。2点目アシストはお見事。
田森 6.5 …とにかくボールを拾いまくり。奪ってからの繋ぎも冷静沈着。相方の工藤も活きた。
工藤 6.0 …展開役として楽しそうにのびのびプレー。プレスも速く、チャンスにもよく顔を出した。
山瀬 6.0 …技術を見せつけた先制点は見事の一言。ただ、周囲とパスが合わない場面も目立つ。
駒井 5.5 …攻撃では空回り気味+コンビが合わず、で持ち味出せず。守備での奮闘は評価。
三平 5.5 …前線の基点かフィニッシャーなのか役割が曖昧。シュートは枠に飛ばしたい。
横谷 5.5 …前半は上手く収められず。後半はタメを作って展開力を見せたが、やや消化不良気味。
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倉貫 5.5 …田森とのコンビでプレスが効いた訳でもなく、入ってすぐに群馬にペースを握られる。
中村 ――
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大木監督 5.0 …何を目指しているのかよくわからないサッカー。交代策もハマらず、遅い。