二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2014 J2第37節 京都vs松本

2014-10-19 | 蹴球

京都サンガF.C.△0-0△松本山雅FC


■押し込むも正攻法
 お互いに様子見のような序盤は戦線の膠着を予感させたが、徐々に京都が松本を押し込むようになった。1つの要因は工藤浩平や田森大己らが積極果敢にボールに寄せるようになったこと。ボランチ起用だった駒井善成は、序盤守備のポジショニングが怪しかったが、動いているボールに対する反応は俊敏だった。駒井がセカンドボールを回収するようになると、京都の中盤での優位は揺るぎないものに。松本はあっさりと中盤から撤退し、自陣を固め、大黒将志への警備を厳重にして籠城した。松本の目論見通り、京都はどれだけ押し込んでも「最後は大黒」という正攻法に頼ってしまい、そこはこじ開けられず。山瀬功治は遠目から狙ったが、長距離砲の弾道は枠から逸れた。
 内容は良かったのだ。この日は選手間の距離も遠すぎず、短いパスも織り交ぜることによって手慣れたリズムを作り、終始ペースを握り続けた。ピンチらしいピンチは序盤の杉本大地の好セーブのシーンと、後半の杉本のキャッチミスに起因するものくらいで、エリア内での大久保裕樹の明らかなハンドを見落とされる不運もあった。何が足りなかったのか、それは点を取るためのバリエーションの欠如、ということになってくるのだろう。

■使えずじまいの武器
 相手からすれば「攻め口は大黒」というのはわかりきっている。予想される方面から攻められるのなら、籠城側も守りやすいのである。それでも相手のマークを外してバーを叩くシュートまで持っていく大黒はさすがなのだが、大黒以外の攻め手が不足していることは否めない。大黒以外の可能性はないのか?そんなことはない。三平和司とドウグラスは、他のクラブに行けば十分主砲になりえる存在かと思う。
 前半、三平は上手く消えることで中盤を活性化していた。三平が動いてスペースを開けることで、そこに工藤が入り込んで…という影になる役割は、三平の得意とするプレーだ。大分時代がそうだったように、消えた三平が伏兵となって、スルスルっとゴール前に現れて点で合わせるようなプレーが出せれば、大黒以外の有力な攻め手になりうると予感した。ただ、そういう予感が漂っているところで監督はあっさりドウグラスに変えてしまったのだが…。
 ドウグラスに関しては、誰がどうみても高さに強い。この試合でも何度も競り勝ってはボールを落としたが、競った主戦場はトップ下~右サイドの位置。どうしても1点がほしい切羽詰まった戦況ならば、割り切って最前線中央に据え置きするオフションは考えられないか(もちろんドウグラスの守備面を買って使ったこともわかるのだが)。大黒に頼りすぎて、せっかく持っている武器を上手く使えずじまいのまま残り5試合。もはやオプションを構築するには遅きに失するところまで来てしまっている。


〈京右衛門的採点〉
杉本 5.0 …1点モノのビッグセーブも、横からのクロス対応でミス連発。加えてコーチング不足。
石櫃 6.0 …機を見て果敢に上がってはクロスを連発。守備でも球際でよく競った。
酒井 6.5 …スピードを生かした潰しと裏へのカバーが光る。ハイボールの競り合いも無難。
バヤリッツァ 6.5 …一度だけ飯田に競り負けたが、あとは空中戦に完勝。最後まで集中していた。
福村 6.0 …駒井をカバーしながら前に追い越す動きがチャンスに。船山も裏狙いもよくカバー。
田森 6.5 …駒井の動きに合わせるようにバランスを取り、ボールを回収。中盤を引き締めた。
駒井 6.5 …人への対応はともかく、ボールへのアプローチの速さで中盤を制圧。八面六臂の活躍。
三平 6.0 …しっかりと守りながらスペースを作る動き。機を見てエリアに侵入する動きも。
工藤 6.5 …積極守備でボールを奪い、ゲームを組み立てる配球。惜しいシュートもあったが。
山瀬 5.5 …狭い局面をこじ開ける力強さがあり、積極的にミドル狙うも精度を欠く。
大黒 5.5 …厳しいマークを背負いながら前線の基点に。ポスト直撃は枠に飛ばしたかった。
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ドウグラス 5.5 …三平より守備的に入ったが、終盤トップ下で長パスのターゲットに。
磐瀬 ――
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川勝監督 5.5 …先祖返りしたように短パス主体に。ドウグラスの使い方はどうも中途半端。