二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2014 J2第34節 京都vs横浜FC

2014-09-28 | 蹴球

京都サンガF.C.○2-1●横浜FC
           23'松下年宏
45'+1大黒将志
(assist石櫃洋祐)
53'駒井善成
(assist酒井隆介)

■間合い
 始め!の合図とともに、剣道では両者竹刀を前に出し、その剣先をセンサーにして相手との距離感を測る。相手のリーチや背の高さによっても取るべき距離は変わってくる。「ヤァ!」「キエエエ!」と威嚇の声を発しつつも相手の出方を観察し、間合いを取っているのである。
 川勝監督になってから、前半はそんなふうに間合いを取る時間が長い。前節、首位湘南相手に主導権を握って仕掛けるサッカーができたのに、次の試合の前半には再び「相手との間合いを取る」サッカーになってしまう。総じて前半の出来がよろしくないのは、相手の出方をうかがううちに受け身になってしまうからだろう。この試合も相手の出方を見ながら「攻める?」「守る?」どっちつかずの状態の中でカウンターを浴びて失点。前半は結構強い追い風を受けていたにもかかわらず、そのメリットも生かせなかった。オスンフンだけは“狙って”いたが、福村貴幸などはロングフィードが長くなるばかり。
 前半の最後の最後でようやく石櫃洋祐が敵陣深くまで進出してクロスを上げ、“常に最終ラインとの間合いを測っている男”大黒将志の妙技から同点ゴール。内容は低調ながら、13試合ぶりに前半に得点し、追いつくことができた。

■変貌
 そしてまたしても後半からチームは変貌。ボールへの寄せも速くなり、守→攻に転換していくスピードは格段にテンポアップ。「なぜそれが最初からできない?」と言いたいところがだが、相手の出方を見極めた上でこっちの出方を整理して、ようやくアグレッシブに出て行くことができるのだろう。駒井善成の逆転ゴールの起点も「寄せ」→「展開」の速さから。バヤリッツァ、田森大己が連続して相手に寄せ、後ろでフォローした酒井隆介が前線にクリア。これが攻め残っていた駒井に通り、躊躇なく持ち込んで右足を振り抜いた電光石火ぶりだった。
 そこから先、京都の寄せはさらに速くなり、誰一人サボることなる相手に圧力をかけ続ける“自分たちが仕掛ける能動的なサッカー”に。京都が能動的かどうかは、中山博貴の動きを見れば判断できる。中山が前目の位置でボールタッチが増えれば、全体がアグレッシブなサイン。そして田森大己もよく最終ラインをカバーするようになる。これは福村が思い切って前に出て行けているから。攻守にわたりスイッチを入れているのは工藤浩平。ところがその工藤が2枚目の警告を受け、退場(ちなみに1枚目は相手の速いリスタートを阻止するためにボールを動かしたことによる遅延。揉め事のゴタゴタを衝かれると危なかったかもしれない)。キーマン工藤の退場によってチームは「守りきる」という方向に意思統一された。
 どんなに不格好でも1点を死守できた体験は、今後どこか重要な局面で役に立つことになるかもしれない。ただ、専守防衛の緊急時に敷く布陣は、(特に石櫃の役割を)もう少し整理をした方がよいかと思いまする。


〈京右衛門的採点〉
オ  7.0 …終盤、相手の猛攻を果敢に飛び出し弾き、止め、防ぎまくる守護神ぶり。
石櫃 6.0 …ルーズな守り方が失点に直結も、大黒へのアシスト+球際の強さで気を吐く。
酒井 6.0 …やや不安定な面も出たが、何度かいいカバー。クリアボールが駒井のアシストに。
バヤリッツァ 6.5 …数的不利の猛攻を阻む高い壁に。前でよく奪うが、ちょっとだけヒヤッ。
福村 6.0 …攻撃部分はあまり良さが出なかったが、相手を遅らせる守りは安定感。
田森 6.5 …最終ラインがバラけても適切にカバー。しつこい寄せが駒井逆転弾につながった。
工藤 6.0 …後半から鋭いプレスで横浜の出足をくじき、流れを引き寄せた。カードはやや厳しい判定。
中山 6.0 …前半は消えていたが、後半ボールをいい形で受け、攻撃的に。守備もいいカバーあり。
田中 6.5 …いい意味で目立たず、攻守に渋い動き。そこに居てほしい場所に居た。
駒井 6.5 …前半はミスが多かったが、後半思い切りの良さが爆発。逆転ゴール後もよく走った。
大黒 7.0 …ピンポイントで合わせた1点目も見事だが、終盤の守備での働き、身体の張り方は圧巻。
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高橋 6.0 …抜けてきたボールをエリア内で掃き出す。動きはやや硬かったが、上々のデビュー。
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川勝監督 6.0 …相変わらず前半は低調で後半からエンジン。アクシデントに動じなかったのは◎。