二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2015明治安田生命J2リーグ第36節 京都vs岐阜

2015-10-11 | 蹴球

京都サンガF.C.△0-0△FC岐阜


[警告・退場]
・京都
なし
・岐阜
23'野垣内俊(C1)
24'渡邉将基(C1)
84'レオミネイロ(C1)


【全体の印象】
守備優先で前に出てこない岐阜に対し、京都はボールを保持するものの、攻め手を欠く。岐阜のカウンターを警戒しすぎたのか攻撃時のオフザボールの動きは乏しく、リスクを冒さない安易な攻撃は岐阜の注文通りに封じられた。後半ジウシーニョが前に出てくると岐阜にビッグチャンスが2度訪れたが、いずれもGK清水が防ぐ。結果的にみれば残留を争う他チームも分けたためまずまずだったが、内容をみれば戦術意図が噛み合わない、極めてネガティブな引き分けだった。


【雑感】
■逆戻り
 砦をしっかり守りつつ、攻撃に出るのは難波とレオシルバの2騎だけ。将軍ラモス率いる岐阜の戦術は明確だった。引き分け上等で、隙あらば勝ち点3を持って帰ろうという現実的なアウェイの戦い方。この試合に対して設定した目標を、ほぼ全員が同じ理解の下で戦っていた。後半からもう1騎ジウシーニョを攻撃に出し、狙い通りの形で「まんまと」勝ちきる寸前まで持ち込んだ試合運びもなかなかのものだった。
 一方、京都はこの一戦をどう位置づけていたのだろうか?4-1-4-1の布陣だけみれば攻め重視のはずだが、ボールを保持しても次の一手を引き出す動き、フリーランは少なく、出し所がなく攻撃は停滞。駒井のようにアグレッシブに突破を試みた者から、金南一のように極端にリスクを警戒して攻撃を自重した者まで、意識のバラつきが目に付いた。
 全員が同じ方向を向いていないチームがどう攻めたかといえば、「駒井の単騎突破」「山瀬の遠目からのミドル」「石櫃の低精度クロス」「大黒任せ」…と、和田体制を彷彿させる個頼みサッカーに逆戻り。チームが戦術ロスに陥った時に、人を使うことに長けた原川が有効なパスコースを見つけられず、役目を失ったのがこの試合を象徴していた。


■足枷
 いい形の攻撃もあった。56分、大黒のシュートシーンに至る一連のプロセスで、原川→山瀬→駒井→原川→山瀬→原川→下畠と小気味よくつないでゴールに迫った。下畠のスルーパスを受けた大黒は角度のない所から狙って外したが、エリア中には原川がいた。大黒が周囲お構いなしなのはある意味デフォルトだが、この日は渡邉将基の徹底マークを受け、シュートは枠に飛ばす。飛び出しのタイミングも微妙に早く、精彩を欠いた。そして相手マークを背負ってボールを収められるタイプでもない。なのに大黒目がけてアバウトなボールを入れては収まらず、攻撃が途切れた。どこかで大黒を見切って有田を投入するか、または動きながら基点を作って周囲を活かせる宮吉に1トップを置き換えるべきだった。
 足枷になっているのは、大黒が流れとは関係なく一瞬で得点を奪える「アタリカード」を持っていること。ゆえに時間が経てば経つほど代えにくくなり、指揮官たちはいつか出るかもしれないアタリカードに賭けてしまう。和田前監督は進んでそういう戦術を選択したし、川勝氏もそうだった。石丸監督はそうではなく、チーム全員が走って、守って、攻める、という方針を打ち出したはずだった。やり繰りが厳しいのもわかるが、いつしか全員で戦うということの意味がズレ始め、走らずにアタリカードを待つチームに逆戻り。一旦まとまりかけていたチームは、終盤に向けて再びバラバラになりそうな危険性を孕んでいる。