二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

第95回天皇杯全日本サッカー選手権大会 3回戦[71]川崎vs京都

2015-10-15 | 蹴球

川崎フロンターレ○3-0●京都サンガF.C.
22'大久保嘉人
(↑田坂祐介)
82'小宮山尊信
(↑中村憲剛)
90+1'杉本健勇
(↑中野嘉大)


[警告・退場]
・川崎
63'中村憲剛(C1)
・京都
31'菅沼駿哉(C4)
56'磐瀬剛(C2)
59'内田恭兵(C1)


【全体の印象】
 序盤から京都はハイプレスを仕掛け、速い攻撃を繰り出してペースを掴む。次第に川崎が圧力を増すと、ミスを起点に速攻を浴びあっけなく失点。その後は川崎の正確なで長いパス回しに陣形を広げられ、プレスもハマらなくなった。何度も中村憲剛や大島僚太に鋭いラストパスが繰り出されたが、菅沼を中心にどうにか耐えた。攻撃面はチャンスも作れそうだったが微妙なズレやミスが多く、川崎ゴールは脅かせず。菅沼が治療のため不在にしていた隙を衝かれて2点目を決められて勝負あり。格上相手に多少怖じ気づく時間帯もあったが、トータルでみれば勇敢な戦いぶりだった。


【雑感】
■よい兆候
 リーグ戦で思うような結果が出ず、残留争いへの全力参戦を余儀なくされた状況での、ミッドウイークの天皇杯。どう位置づけるか非常に難しいゲームとなったが、結果的には、前節から清水、菅沼、宮吉以外を代えて臨み、力差を見せ付けられて完敗。ただしJ1上位をうかがう格上相手に対して、MF佐々木やDF菅沼、磐瀬など、チャレンジャーズスピリットを見せられたのはよい兆候。石丸体制2試合目のセレッソ戦の頃にみなぎっていた「自分たちは挑戦者だ!」という気持ちを、再びチーム全体で共有していくきっかけになればいいのだが。
 
■お手本
 とはいえ、気力だけではどうもならない力の差はあった。最も大きな差を感じたのは、「隙」を見せてしまうと、すぐに喉元に刃を突きつけられるなうなパスを通されたこと。象徴的なのは2失点目で、足が攣った菅沼が治療のためピッチの外に出た直後、田森が菅沼の位置に下がり、田森がいた位置は曖昧となっていた「隙」を見逃してはくれなかった。その一瞬を衝いて大島僚太→中村憲剛と繋がれ、ズバリ一閃ラストパス。すなわちそれが下位カテゴリーの“甘さ”なのだが、逆にそうやって隙を衝く攻撃姿勢は、いいお手本でもある。単に「力差があったから完敗した」で終わらせては成長はない。
 幕末、薩摩藩がイギリスと戦火を交え、長州藩が英仏米蘭4国連合に大敗して知った「力差」から多くのことを学び、「強い藩」へと飛躍した。敗北から何を学ぶかで、このミッドウイークの中途半端なゲームが意味あるものだったのか、それとも消耗しただけの意味のないゲームに終わるのか、変わってくる。敗戦から得る糧とは、たぶんそういうことだ。