二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2011天皇杯4回戦 鹿島vs京都

2011-12-17 | 蹴球

鹿島アントラーズ●0-1○京都サンガF.C.

■それは讃岐うどんのように
 粘り。有り余るほどの粘り。もっちりシコシコとした歯ごたえで人々の味覚をトリコにする讃岐うどん。元をたどればただの小麦粉。それを踏んで捏ねくりまわした末に熟成される。そこには熟練の技が必要で、一朝一夕にできるものではない。大木武監督のこねた“MEN”は、今年の春頃は噛むとすぐにブツ切れになって、歯ごたえもゆるかった。ひるがえって今日、“王者”鹿島アントラーズ相手に見せた粘りと歯ごたえは、熟練の職人が打った本場の讃岐うどんにも真っ青の粘りとコシだったのだ。
 決め手はプレスのスピードだった。ボールホルダーに対してキッチリ囲みに行く。速い。相手もそれを躱しながら陣地を進めようとするが、次の地点にもプレスをかける。まるでいつまでも追い続ける網のように…。守備というのは派手さはないが、一人一人が粘り強く根気強く続ければ、カテゴリーの差など越えていけるのだ。運動量が多いから、例え一人がミスをしても、それを誰かが緊急フォローできるし、こぼれ球もよく拾える。鹿島アントラーズを圧倒するほどの手打ちMENだった。

■天皇杯の戦い方
 カップ戦を勝ち抜こうとする時、2つの道がある。一つはノックアウト方式では一発のミスが命取りになるので、リスクを最小限に抑える街道ルート。もう一つは勢いでまっしぐらに進む荒れ道ルート。今日の戦い方は明らかに後者で、それは荒れ道を突っ走っているように見えた。例え先制しても、決して引かずに攻め続ける。試合巧者のすることじゃない。しかし、それでいいのだ。幸いにも今、ドゥトラが絶好。前線でボールを持てる選手がいるなら、そこに預けて仕掛けてもらえば、相手も引かざるを得ないのだ。
 鹿島アントラーズよりも試合巧者なチームなど、さほど多くはない。勢いで突っ切って天皇杯獲りに行こう。そう、2003年元日のように。


〈京右衛門的採点〉
水谷 7.0 …丸亀城の高石垣のように、好セーブで牙城を築く。
安藤 7.0 …激しく上下動して右サイドを制圧。ミスもなし。
森下 7.0 …大ピンチを防ぐタックルなど、穴が空いたらしっかり塞ぐ。
秋本 6.5 …次よ予測する動きでがっちり守備。空中戦も無敗。
福村 7.0 …被決定機に身体を張り、積極的に前にも出れた。
チョンウヨン 7.0 …攻守に抜群な動き。宮吉へのスルーは絶品。
中村充 7.0 …中盤でボールによく絡んで周囲を巧みに操る。
工藤 6.5 …フリーランでスペースを埋め、ハイプレスの心臓役に。
中山 6.5 …随所に顔を出す運動量とおしゃれヒールなどアイデアも豊か。
宮吉 7.0 …ゴールは完璧な流れ。積極的に狙う姿勢とチェイスも◎。
ドゥトラ 7.0 …強靱な身体能力で鹿島ディフェンスに楔を打ち込む。
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駒井 6.0 …与えられた指令「前線からのチェイシング」をコンプリート。
加藤 ――
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大木監督 7.5 …王者相手に逃げない戦い方を選び、勝利。最大級の賛辞に値する。