二条河原の楽書

京都サンガF.C.を中心にJリーグを楽な感じで綴るサッカー忘備録(予定)

2014 J2第20節 京都vs岡山

2014-06-29 | 蹴球

京都サンガF.C.△1-1△ファジアーノ岡山
           29'田所諒
41'内野貴志
(assist――)

■世界のJ2サッカー
 ボールホルダーに鋭くプレスをかけ、奪ったら即攻撃に転じる――この運動量+ショートカウンター主体のサッカーが今回のW杯でも結構な強さを誇っている。J2ではもはやおなじみというべきこの戦術=J2サッカー。奪ってから超加速を誇る湘南は別格として、次に速くて運動量豊富なのはファジアーノ岡山かもしれない。奪う前から次のルートを予測して走り、こぼれてくるボールまできっちり走って詰めることをサボらない。今回のW杯なら、コスタリカ代表に近いだろうか。逆に今年の京都はそういう時間とスペースを奪いにかかる走力勝負を苦手とし、水戸や群馬に走り負けて大敗を喫したのは記憶に新しい。
 岡山の球際の強さはこの試合でも時間が進むにつれて発揮され、果敢な仕掛けと迷いなきシュートの姿勢からあっさり先手を奪う。失点シーン、京都は右サイドバックの駒井善成がボールホルダーの三村真に釣り出され、石原崇兆と田所諒の2人に背後の穴に入り込まれた末、田所に思い切りよく決められた。しっかり人数をかけてパスコースを複数作った時点で、岡山見事というしかない。だが京都からみれば、これは組織の綻び。急造DFの駒井を誰もフォローできなかったリスクマネジメントのなさは、(監督交代から10日では直せていない)守備の未整備ぶりを物語る。

■闘志
 京都は岡山の走力に圧倒されつつあったが、それでも内野貴志の同点ゴールのあと駒井が勇敢に前に出るようになってからはペースを掴めるようになった。そして後半に入ると、球際に強くという部分については森下監督代行の指示通り京都が岡山を凌駕しはじめる。ただ、ボールを持てるようになってからのアイデアは乏しかった。外に開いてからの縦の突破+クロスか、大黒に当てるか…。奪ってからのボールの持ち出し方ではやはり熟成を重ねる岡山の方が長けており、チャンスと見るや迷わず2~3人走り込む連動性は水際立っていた。工藤浩平の獅子奮迅ぶりと酒井隆介のスピード、そして駒井のガッツでどうにかシュートを打たせなかったが、岡山のカウンターは鋭かった。
 京都は、球際でファイトはするが攻め手がない。エース大黒将志は堅守岡山の厳しい監視下に置かれ、頼みの伊藤優汰の突破も常に2枚を当てられて前節熊本戦のようにはいかない(それでも伊藤は何度か囲みを破った)。状況を打破すべく投入された有田光希はサイドでの起用。動き自体は良かったので、役割をポストプレーヤーに限定してシンプルにやればもっとゴールに近づけていた気もする。最後のカード・宮吉拓実については戦術的な狙いはハッキリしなかった(起用理由は「練習の姿勢で」とのこと)。結局、勝ちきる采配には至らなかったが、前監督時代に大きく欠落していた闘志を高めるという部分はよく持ち直している。好調岡山と対等に戦えたことは、“代行”としては悪い結果ではない。


〈京右衛門的採点〉
オ  5.5 …クロスへの対応は落ち着いていたが、ミスキックであわやのピンチ招くなど足元が不安定。
駒井 6.0 …前半は守備面に穴を開け失点につながる。後半は攻守とも勇猛果敢に最後まで走りまくった。
酒井 6.5 …何度もピンチを救うカバーリング。久々の内野とコンビはあまりスムーズではなかった。
内野 6.0 …空中戦や当たりには強かったが位置取りとパス出しが不安定。同点ゴールは価千金。
福村 5.5 …ボールカットや粘り強いキープもあったが、後半田中の突破に苦しみ左サイドを使われた。
工藤 6.5 …後半はプレス、パス出し、最終ラインのカバーから攻め上がりまで圧巻の運動量で牽引。
田森 5.5 …局面局面の球際ではよく身体張り、配球も悪くないが、スペースへのカバーは遅れがち。
田村 5.0 …前半絶好機を外した後は厳しいマークの前に仕事できず。守備意識はもう少し高めたい。
山瀬 6.0 …球際に厳しく当たって奮闘。密集地帯で力を発揮したが、シュートに直結するプレーは出せず。
中山 5.0 …攻撃の配球役を担ったが、大黒任せのパスは狙われていた。守備面でもあまり目立てず。
大黒 5.0 …厳しいマークを背負ったが、チャンスに決めきれず。1トップのポスト役にしても怖さ半減。
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伊藤 6.0 …ボールが回ってくれば果敢に仕掛けてかき回し、貪欲にシュートを狙う姿勢や良し。流れは変えた。
有田 5.5 …当たりの強さを発揮して起点になりかけたが左サイド。ボックス内でプレーしたかった。
宮吉 5.0 …セカンドトップで入ったが、右に流れて精度の悪いクロスを上げる仕事。ボックス内で勝負したかった。
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森下監督代 5.5 …HTに気合いを注入し球際の強さと闘志は現れた。交代策は伊藤以外効果なし。