茶語花香

人生は旅なり。
中国茶をはじめ、花のある暮らし、読書、旅などを中心に、日常の出来事を綴ります。

茶丿史-《僮約》

2014-05-08 12:00:29 | 茶語・茶ノ史

杭州西湖 曲院風荷の茶館にて(2014.4月写真)

杭州(こうしゅう)と並び、昔から茶館文化が盛んだ街は、四川省(しせん)の成都(せいと)。

歴史上、西漢の時代(世紀前206年-9年)に、巴蜀(はしょく)茶業は、すでに盛んでいた。巴蜀とは、四川省の旧称。

その時代に残された面白い文献がある。

地主の王氏と男性の召使いの間に、結ばれた契約書『僮約(どうやく)』の記載が残されていた。

召使いは、契約書に書かれる以外のことは、一切やらないと言い出す。仕方なく、詩人でもある地主の王氏は、召使いのなすべき家事を細かく文書にした。

中に、このような項目が書かれている。

烹茶尽具

武陽買茶

この八文字から、当時豪族の家庭では、すでにお茶を調理する慣習があり、お茶を飲むための茶道具も、すでに存在したと言われている。

言葉にある武陽は、市場の名と推測され、その時代に、すでにビジネスとしてのお茶市場ができたことの証明になる。

茶聖と言われる陸羽の『茶経』は、それより800年後のことであるが、『僮約』は、お茶の飲用と購買を触れた、最古の文献資料として知られている。

茶杯の中の美味しさから始まるお茶の世界、気がつけば、古文献の面白さも教えてくれたきっかけになった。


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注)
巴蜀(ハショク)-「巴ba1」は現在の重慶を指す。「蜀shu3」は現在の成都を指す。四川省の二大都市を指すことで、「巴蜀」は四川省の代名詞になる。

僮約(ドウヤク)-「約yue1」は「契約」の略。「僮tong2」とは、未成年の召使いのこと。
            
未成年の若さであるゆえ、家主さんに向かって、契約書以外のことを一切やらないと言えたのではないでしょうか(笑)

彼女が飾ってくれた花

2014-05-07 15:06:13 | 日常

昨日、外出先から帰ってきた私の目に、飛び込んできたのは、茶道具と一緒に、飾られた色鮮やかなお花でした。

娘に話しを聞くと、私が留守の間に、お隣さんがお土産のお菓子と一緒に届けてくれたそうです。お心遣い、いつもありがとうございます。

うとうと昼休みを取っていた主人を起こさず、娘なりに頂いたお花を生けてくれたそうです。

習字道具の筆洗いを茶杓置きに使っていたのは、ちょっと前私がしていたことです。今日は、娘は鮮やかな花びら二枚を、そこに添えました。

男の子のようなさっぱりした活発な性格ですが、お花好きな女の子の一面もあるなーと、見て思いました^ ^

それと一緒に飾られたのは、もうじき迎える学校のバザーという内容の彼女の絵です。飾って欲しいのか、バザーの日が早く訪れて欲しいのか、と眺めながら思いました。



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大陸龍井と台湾龍井

2014-05-04 20:00:16 | 中国茶・世界のお茶

写真 西湖龍井

西湖龍井を頂いた幾日前、台湾龍井の新茶を頂く機会がありました。

1948年、蒋介石(しょうかいせき)が軍隊を率いて、中国大陸から台湾に、たくさんの人々が移り住みました。人々とともに、海を渡ったのは、杭州の龍井です。

台湾の地でも故里の味を味わいたい思いです。

台湾龍井は、台北近くの三峡地区で栽培されています。長い年月が経て、台湾龍井は、台湾の土に馴染み、大陸龍井の群体種や龍井43号等とは、違い品種となります。一般的に、青心柑仔もしくは黄柑種のいずれになります。

見た目は、台湾龍井の方が、もっとくすんだ濃い緑になり、気候の違いで、長さも5-6センチほどあります。


豆香の大陸龍井に対し、台湾龍井の味わいは、一種の花香、軽やかな果香…表現するのに、言葉に悩みます。美味しく頂けるお味です^_^

大陸龍井と台湾龍井の新茶に、共通しているのは、産毛の厚みというところです。初めて見る人なら、綿と思ってしまう可能性が、なくもないかもしれません。

そして、茶杯の中、水の張力で、産毛が光って見えるところも、春の風物詩です。

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知足常楽

2014-05-03 14:25:23 | 茶語・茶ノ史

上海の友人から西湖龍井の新茶が送られてきました。

素敵な茶缶に見惚れていました。

昔のお茶飲み風景の絵を眺めながら、そこにある言葉で思いしめます。

知足常楽(zhī zú cháng lè)

満足を知れば、常に幸せの気持ちでいられるという禅の言葉です。

人間だれでも欲が出て、もう少しで、もっと…と思う時があります。
目の前の幸せに満足していれば、いつでもハッピーの気分でいられるという人生の教訓です。

そんなことを心に染みながら、頂いた西湖龍井を堪能しました。



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試験場で誕生した円盤形の紅茶ー紅韻圓茶

2014-05-01 20:50:15 | 中国茶・世界のお茶
油性の紙に包まれるのは、プーアルの茶餅ではなく、2013年11月、台湾茶葉試験場でたった五十枚だけ作られた円盤形の紅茶です。

直径は、10-12センチ位、100グラムの重さで、手で形を整えた紅茶茶餅です。

この茶餅は、台茶21号の紅韻という品種で作られています。紅韻とは、高い香りで知られる中葉種の祁門紅茶とインド大葉種のカイヤン(kyang)を抱き合わせ、花粉受精をさせ、選び抜いた種で作り出した品種です。台茶18号の紅玉よりも、余韻が良いとされています。

そもそも、何のために紅韻を作られたかといいますと、祁門紅茶の高い香りとカイヤンの味わいが理想としたわけだそうです。


試作品のこの円盤形の紅韻が、散茶よりも優れた風味を持つと期待されているかもしれません。

本来なら、二年ほど先が飲み頃なんですが、特別に飲ませてもらうことになりました。


こんなに希少なお茶を、目の前で割られると、ちょっと辛い気がしなくもないのです。

けれど、崩されたお茶の上品な香り鼻に近づけると、やはり飲みたくなりますね。


蓋椀の中も、やはり祁門紅茶に似た高い香りがして、飲む意欲をそそってくれます。


「紅亮色」と言われる茶湯です。のどこしがよく、シルクのような滑らかさ、渋みもえくみもなくさらっと上品な紅茶でした。

先途未知の要素の多い試作品のお茶、運よく頂けたのは、めったにない事です。
少しだけお茶の開発と誕生の話しを聞けて、台湾茶中国茶のビジョンのようなものも、少し覗けた気がしました。

こういう希少価値のあるお茶を頂きながら、専門的な知識を聞けるのは、有意義な時間でした。

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