ヒント、ヒラメキ、納得、共感を覚える。
秋の夜長に読み進む『翻訳夜話』、なかなか面白くて…
『翻訳夜話』では村上春樹氏とアメリカ文学翻訳の第一人者である東大名誉教授の柴田元幸氏の対訳も載っています。
村上訳を読んだときに、これは、英語の感覚で書いた日本語だなぁと感じます。前のめりの訳でした。
一方、柴田訳の場合は、作者の母国語が日本語で、最初から日本語で書いたらこうなるだろうなぁ、という感じがしました。
欧米クラシック青春小説『ライ麦畑をつかまえて』。それを遺したサリンジャーについて描写する映画が昨年上映されました。その映画を観てから、サリンジャーの作品を熱心に翻訳し、翻訳家としての村上春樹氏に関心を向けるようになりました。
ほぼ同じタイミングで、柴田元幸教授の講演会に参加する機会がありました。片手を振りながら、自分の翻訳を声出して読み上げる柴田先生の姿、今でも目に浮かぶ。飾り気の全くない翻訳家の翻訳愛を強く感じた日でした。