
消費税法では、売上額の申告(第42~47条)や消費税の納付(第48~50条)の義務を事業者に課しているだけで、消費者には納税義務を課していない。納税事業者には、消費税の価格転嫁が保証されてもいない。
消費者が、免税事業者などの納税しない消費税分の国家賠償を求めた裁判で、「消費者は、消費税の実質的負担者ではあるが、消費税の納税義務者であるとは到底いえない」「(消費税の)徴収義務者が事業者であるとは解されない。したがって、消費者が事業者に対して支払う消費税分はあくまで商品や役務の提供に対する対価の一部としての性格しか有しないから、事業者が、当該消費税分につき過不足なく国庫に納付する義務を、消費者との関係で負うものではない」という判決(1990年3月26日・東京地裁、同年11月26日・大阪地裁。共に確定)が出ている(国の主張が認められた)。
消費者が支払っている「消費税○○円」という額は、実は価格の一部であり、消費税法上は「消費税」ではなく、納税義務者である事業者が納税するために便宜上「消費税○○円」と書いて価格を引き上げているものということだ。
酒税などの間接税とは違い、消費税は事業者に課せられる直接税だ。

しかし事業者が納める消費税は、売上から一部の経費(仕入れなど消費税が課税されるもの)を差し引いた後の“粗利”に課税されるものだ。
したがって消費税は、利益が出ていなくても事業者は納税しなくてはならない。消費税納税のために倒産することも起こりうる。消費税は最も滞納の多い国税となっている。
消費税の実態は、消費者(価格に転嫁された部分を価格の一部として負担する)と中小企業・事業者(価格に転嫁できなかった部分を直接税として負担する)という弱い立場のものに負担させる反民主的な税だ。
しかし、実際に消費税の社会に対する影響を考えるとき、消費者が支払う間接税とみなしても差支えないと思う。
(4月11日加筆)
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