クズラのブログ

日頃の農作業や社会活動、そして両親の介護などを綴ります(22年1月記)

岡山市が御津虎倉産廃処分場設置を再審査する意向、弁護団は抗議文送付

2015-12-26 | その他
 岡山市(大森雅夫市長)は25日、御津虎倉産廃処分場の設置許可を取り消し、補正させた申請書で再審査する意向を示しましたが、業者側に立って再審査しようとする岡山市の姿勢に対し、住民らの怒りの声が高まっています。

 同産廃処分場は、岡山市の産廃業者・西日本アチューマットクリーンが岡山市に設置許可を申請。地元住民の反対の声を無視し、市は2009年に許可しました。

 住民側は、業者に対し建設差止の訴訟を、市に対し許可取消の訴訟を起こし、今年7月に最高裁が業者の上告を棄却し、高裁での住民側の勝訴判決が確定しました。その高裁判決では、豪雨時には調整池が溢れ、下流に浄水場があることから、住民らの生命や身体に重大な被害を及ぼす蓋然性が高いと判断されました。

 市に対する設置許可取り消しの訴訟では、住民側は地裁と高裁で敗訴していましたが、今月に入って最高裁で住民側の上告が受理され、高裁判決が見直される可能性が高くなっていました。

不利になってから許可取消、しかも再審査の意向

 岡山市は、敗訴の可能性が高まったこの段階になって、急に設置許可を取り消しました。住民らの生命や身体に重大な被害を及ぼす蓋然性の高い産廃処分場の設置を許可して、地元住民や下流の市民に多大な苦労と心労をかけてきたことに反省も謝罪もない岡山市の態度は、まったく不誠実です。

 その上岡山市は、業者が調整池の容量不足を解消するよう計画を変更する予定であることから、申請書を補正させて改めて審査する意向を示し、またもや、業者側に立ち、産廃施設や業者などに対する住民の不安・不信の声に耳を傾けない姿勢を示しました。

住民側弁護団が市に抗議文を送付

 御津産廃弁護団(河田英正団長)は5日、岡山市環境局産業廃棄物対策課あてに「平成27年12月25日の岡山市御津虎倉管理型産業廃棄物最終処分場設置許可の取消について」と題する文書(写真)を送り、「本件最終処分場の設置について、地域住民が強く反対する理由は、その立地の危険性、生活用水を供給する川の上流に位置するところにある。住民等に及ぶ危険を顧みず、その存在を無視するかのように、ただ設置許可のために手続きを進めようとする岡山市の態度は強く非難されるべきもの」であるとして抗議しています。

フェイスブックなどでも怒りの声

 訴訟の原告となっている河原愼司さんもフェイスブックで、産廃阻止同盟の中原会長が電話したが産廃課の担当者は出てくれなかったと明かし、「岡山市と産廃業者がお話しをして、こんな風に進めていきましょうねって感じですか。相も変わらず住民を無視した態度。年末年始の忙しい時期に重要なことを決めて、住民の反対運動を少しでも後手に回らそうとする姑息な手段。その手には、この十数年で慣れたと思ってたけど腹が立つ」と怒りの気持ちを綴っています。

水道水源保護条例についての岡山市議会質問を傍聴

2015-12-08 | その他
 昨日(7日)、岡山市議会本会議で河田正一議員(共産党)が水道水源保全条例の制定について質問すると聞いたので、傍聴してきました。

 河田市議は、4つの質問項目の中の2番目の項目で水道水源保護条例の制定について取り上げ、全国で69の自治体で水源地を守るための条例が制定されていることも示しながら、岡山市において、安心安全な水道水源の確保を保証し、次世代に引き継ぐための条例を制定すべきとして、次の3点の質問をしました。

(1)岡山市には水道水源の保全を図る目的を持った条例、要綱はどのようなものがありますか。また、その中では水質を守るためにどのような規定が盛り込まれていますか。
(2)産業廃棄物処分場がいくつか計画され、すでに稼働している施設も多くあります。これらの多くは山間部に立地、計画されています。水源地上流域への立地についてどのような所見を持っていますか。
(3)水道水源の保全のための条例を制定することについての所見をお示しください。

 この質問に対する今川水道事業管理者の答弁は次のようなものでした。

(1)―本市には水道水源の保全を直接の目的とした条例等はございません。
(2)―安全でおいしい水をお届けするためには、産業廃棄物処理施設のみならず水道源水に影響を与える恐れのある施設は、水道水源上流にないことが望ましいと考えておりますが、そのような施設が設置される前には法令等に基づき適正に管理されなければならないと考えております。
(3)―水道局では水道法に基づいて浄水場の源水及び上水を定期的に検査しており、さらには水安全計画の中で処理場からの車両等の事故によるオイル流出、工場排水等の流入、農薬の大量散布などさまざまな水質異常を想定し、その対策をとっております。これらにより水道水源の安全性は確保できているものと考えております。

 河田市議は再質問でもこの項目を取り上げて次のように質問しました。

 水道水源保全の条例を作ったらどうかという点ですけれども、先ほどいくつか例を挙げましたが、自分たちの水は守ろうじゃないかと言う(ことなんですね)。岡山市の水道はちゃんと検査しているから大丈夫だと言うんですけれども、有害物質が入って来ないようにした方がいいのは当たり前だと思うんですよね。だったら、水道水源を保全するような条例については、もっと前向きに検討するべきではないかと思うんですけれども、もう一度お伺いいたします。

 再質問に対する今川管理者の答弁は次のようなものでした。

 水道水源保護条例の制定につきまして前向きにということでございますが、先ほど答弁いたしましたように、幸いにも岡山市の水源は良質でございますので、今のところそこまでの必要性はないと思っております。まあ、水道局の姿勢としまして、基本計画の中で水源の保護、並びにISOの普及(?)等の中で水道局としても十分取り組んでいけるものと考えております。

 河田市議は再々質問でもこの項目を取り上げて次のように質問しました。

 水源保護条例についてですが、岡山市の水道というのは大変優秀だと思ってますし、今もしっかり黒字経営をしていただいとることについては感謝しとるんですけれどもね、もっと安全をきちっと守るという意味では、やりすぎと言うことはないと思いますのでね、前向きに検討して頂きたいなと思うんだけど、検討する余地はないですか。もういっぺんお聞かせください。

 再々質問に対する今川管理者の答弁は次のようなものでした。

 水道水源の保全について前向きにということで、議員ご質問の中で、都道府県なり他の市町村の例を挙げられましたが、私としては他の政令市では制定しているところをまだ承知していませんので、そういった動きも見ながら、今後勉強なり研究なりも始めていきたいと思います。

 本会議終了後に議員控室を訪ねると河田市議から次のような話がありました。

 「いい答弁は引き出せなかったけれど、これから何度でも質問して、やがては前向きな答弁を引き出せるようにしていきたい」

 市は「水道水源の安全性は確保できている」と答弁しましたが、住民が御津虎倉産廃処分場の建設差止を求めた裁判では、豪雨対策が不十分で有害物質が流出する恐れがあるとして産廃建設が差し止められました(今年7月、最高裁で確定)。虎倉産廃処分場建設予定地のすぐ下流には浄水場があるのです。岡山市は当初、この虎倉産廃処分場の設置を許可していたのですから、私は、「水道水源の安全が確保できている」どころか、市が「水道水源の安全性を脅かしている」と言われても仕方ないのではないかと思います。