クズラのブログ

日頃の農作業や社会活動、そして両親の介護などを綴ります(22年1月記)

不耕起稲作の経験と反省

2010-11-16 | 不耕起稲作の経験から
 2010年度まで4年間試みていた冬期湛水・不耕起稲作の経験と反省です。
 (ブログ「クズラの不耕起栽培のこころみ」に4年間の体験を綴っています)

 試作田は、山間の区画整理した田んぼの一部を波板で仕切った2畝の田んぼです。

1、取水とヘドロ取り

 沢を堰止めた水を内径10cmくらいのパイプに通して、約40m離れた田んぼに放出します。
 沢の上流には、貯水池がありますが、秋から春の間は放流しません。東側の小山から染み出す水が集まって、少量の沢水になります。晴天が続くと水量もごくわずかとなります。堰から田んぼまでの落差がほとんどないので、パイプの途中にヘドロが溜まってきて、ときどき水が出なくなりました。
 そんなときは、パイプの放出口を、田んぼのあぜから取り外して下方の沢に落とすと、取水口との落差ができるので、溜まったヘドロが放出され、水の通りが回復します。
 このヘドロ取りを年に数回おこなっていました。
 少量でもほぼ年中取水ができるのはありがたいことです。
 ただ、ヘドロ取り作業の労力を少なくするための工夫の余地がありました。

2、苗づくり

 田んぼに直播したこともありましたが、水温が低かったためか、あまり発芽しませんでした。播いたモミの上に張ったネットが低すぎたり、横に隙間があったりして、鳥にモミを食べられたり、発芽後の幼苗を食べられたりもしました。
 ほとんどの苗は、一般田用の箱苗を、育ったころに分けてもらって植えました。
 田んぼを広げると田植え機を使わざるを得ないので、やはり箱苗を育てることが必要です。

3、田植え

 ほとんどは手植えをしました。労力がかかるので、田んぼを広げると、田植え機を使わざるをえません。
 最後の年は、田植え機を使いました。

4、生育の不均衡

 田植え後の稲の生育は、田んぼの場所によって、まったく育たなかったり、育ちが悪かったりしました。田んぼ全体では、一般田よりも生育が悪く、モミの収穫量も少な目でした。
 湛水田での微生物の活動に偏りがあって、作られる栄養の分布に偏りがあるのか、または他に何か原因があるのか、解りません。
 最後の年に機械植えをしました。機械植えでも稲の育ちに偏りはありましたが、全体では手植えよりも生育はよい結果となりました(田植え機の稲を差し込む爪が、稲を痛めないことによるものか、土深くに差し込むことによるものか、手植えの手際が悪いことによるものか、よくわかりませんが)。雑草も多かったので、一般田よりは不作でした。
 結果としては、手植え<機械植え<一般田 ということでした。

5、雑草対策

 雑草は、思ったよりもたくさん生えました。本を読み、湛水田では陸生の雑草が生えないから雑草は少ないだろうと思っていたのです。
 前半の2年は、手で除草しました。いい運動になり、かなり痩せました。
 後半の2年は、作業時間が不足し、最後の1年は、腰を痛めたこともあり、除草作業を手抜きしました。その甲斐あって、たくさんの水生の雑草が生え、稲と栄誉分を奪い合い、稲の生育を妨げました。
 最後の年の夏には、腰痛が回復して、手押し除草機「まんが」で除草しましたが、除草時期が遅く、また除草に十分労力が割けなかったので、クロクワイが生い茂りました。
 来年の半不耕起田では、EM活性液を使って抑草しようと考えていますが、少し不安もあります。

6、稲刈り

 4年間、手刈りでした。
 でも、田んぼを広げると、コンバインで刈らざるをえません。
 一般田でのコンバインによる稲刈りの経験から、稲が畦近くに植えられると、コンバインで刈りにくくなります。
 また、畦近くに植えられた稲は、やや栄誉分が少なく、生育が悪くなっていました。
 次からは、畦から少し離して苗を植えた方が良さそうです。

7、脱穀
 3年間は、足踏み脱穀機を使いました。脱穀やモミ集めなどに労力が要りました。
 最後の2年は、コンバインの脱穀機能を使いましたが、比較すると、かなり楽でした。

8、砂地の田
 この田んぼの土は砂が多いので、生育中の田んぼに水のよどみが少ないからだと思われますが、おいしいコメになりました。食べてくれた知人の評判も上々でした。