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森の空想ブログ

夏草刈り/草刈りは鎌一丁で[森へ行く道<52>]




梅雨が明けた。熱いけれどからりと晴れやかな南国の夏がきた。
小学4年生のテッペイ君が来て草刈りを手伝ってくれる。彼はもう一年以上この森へ通ってきているから、作業のコツはすぐに飲み込み、手際よく仕事をこなす。もっとも、彼の場合は遊びと仕事の区別はないから、しばしば、鎌を両手に持って二刀流で刈ったり、逆方向(左から右へ)に草をなぎ払い、その切れ味を試してみたりする。
まだ腕力・筋力には限界があるから、鎌は最小レベルの草刈り鎌である。この鎌に慣れ、「研ぎ」までをマスターしておけば、やがて大鎌も楽々使いこなすようになるのだ。一人前の山人<やまびと>になるための基礎が、遊びの中で実習されているということだ。



これが大鎌。
鎌一丁があれば、いま問題になっている夏山の下草刈りは出来るのである。私は若い頃、父親と弟の三人で、2町歩ほどの山の下草刈りをした経験がある。まだ草刈り機が発明されていない頃のことだ。視界すべてを覆い尽くすほどの山を夏の40日間で切り尽くした。汗が白い塩分の粉となって紺のTシャツに滲み出るほどの重労働だった。マムシも出たし、アシナガバチにも刺された。が、山仕事の天敵を退治することも良い気分転換となり、獲物は、サンショウウオやヤマメとともに山の珍味となって胃袋に収められた。切り進み、ついに山の頂上を極めたときの爽快感を、山上を吹きすぎて行った風の香りとともに今もあざやかに思い出すことが出来る。



上掲写真は、先日来てくださった荒木ひとみさんの草刈り風景。神楽取材仲間だが、奥多摩の山林ボランテイア活動に参加しているというだけあって、大鎌を自在に使う仕事師だった。
                   ☆

以前「草刈り十字軍」という運動体が存在した。概要をインターネット辞書ウィキペディアから転載しておこう(筆者・要約)。

『林業の造林作業においては、植樹した木が周囲の雑草に被圧され衰退しないように、定期的に草刈りをする必要がある。この下草刈りの作業は非常に手間がかかることから、1970年代には除草剤などを併用して行われていた経緯がある。
1973年、富山県大山町(現富山市)の植林地で、ヘリコプターによる除草剤散布が計画された。環境破壊を危惧した足立原貫(あだちはらとおる/当時の富山県立技術短大教師、現NPO法人農業開発技術者協会・農道館理事長)が全国の学生にボランティア活動を呼びかけ、1974年の夏より人力による草刈りを行った。これが「草刈り十字軍」である。数日間の合宿による除草活動は、参加した学生らの環境保護の意識を高め、全国各地へ波及した。
林業における草刈り作業は、炎天下の急斜面で大型の刃物(農業用の一般の鎌とは形状・大きさが異なる)をふるう非常に危険な重労働である。除草剤の散布に一方的に反対するだけではなく、対案を実践する苦しさや辛さを体験する場として、発足後30年を経た後もなお、数十名もの参加者を見ている。
2015年まで全国より延べ4,210人が参加し、延べ1,864ヘクタールの草刈りを行ってきたが、参加人数がピーク時の1、2割に減り、若者の参加者も減ったことなどから、2016年8月の活動をもって43年の歴史を閉じることとなった。同年9月17日、射水市で開かれた運動の修了式では。創始者の足立原が「世代などお互いの違いを学び合う絶好の場だった。参加者それぞれが次の階段をどう上がっていくかが大事だ」と活動について締めくくっている。
なお、2017年8月23日-24日には、元参加者有志10人により限定的な復活が行われている。

その後、森林への除草剤の散布は、薬剤による環境面への影響対策に加え、木材価格の低迷などの事情により、1970年代後半以降には大規模な草刈り作業そのものが下火となり行われなくなった。』





*草刈り十字軍の画像はインターネットから転載。

先日、宮崎県が計画した無人ヘリによる除草剤散布計画は、反対世論の高まりにより中止となったが、下草刈りの課題は解決されないまま残っている。この「草刈り十字軍」の現代的応用(いずれ提案します)が考えられて良いと思い、ここに掲示しておくのである。

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