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【1323冊目】なぜデフレを放置してはいけないか 人手不足経済で甦るアベノミクス


kurogenkokuです。
1323冊目は・・・。

【kindle版】

 

なぜデフレを放置してはいけないか 人手不足経済で甦るアベノミクス
岩田規久男 著  PHP新書


日曜討論に出てから、もう一度、マクロ経済学の本を読みなおしてみようというモチベーションが高まっています。日曜討論には、kurogenkokuのほかに、一橋大学名誉教授の野口先生、立教大学の首藤先生、PWCコンサルティングで元・日本銀行審議委員の片岡先生が出演していました。kurogenkokuの主張はさておき、他のの先生方の主張と本書を照らし合わせながら読んでみると、とても面白いのです。

参考までに著者の岩田規久男先生は、片岡先生と日銀の審議委員を務めていました。2人ともリフレ政策の代表的な方なので考え方も一緒です。その岩田先生が本書で強調されているのは、以下のような考え方です。

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■岩田先生が否定する考え方
・デフレ不況下の企業の廃業・倒産の増加は生産性の低い企業を淘汰し、生産性の高い企業に労働者や賃金を配分する絶好の機会であるから経済を効率化するうえで望ましいという考え。

■岩田先生の考え方
・需要拡大のための経済政策の重要性を強く打ち出していくことが重要。
・金融政策と同時にデフレ脱却までは財政緊縮度を引き下げる「財政のリフレ・レジーム」への転換
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kurogenkokuの考え方はどちらかというとマクロ経済的考え方は岩田先生に近いのですが、それでも生産性向上や賃上げの取組みは重要だと思っています。


現在の足元を見ると、需要があっても供給が追い付かず(部材不足や人手不足)も目につき、こういう事態においてはサプライチェーンの強靭化や人手不足解消のための大胆な投資促進策が必要と考えます。さらには実質賃金がプラスに転じるために、可処分所得を増やす政策(ガソリン価格の引き下げ、社会保険負担の軽減、所得減税など)もあわせて強化する必要があると、いまの経済状況下においては大切なんだろうとも思っています。

 

「廃業・倒産の増加は生産性の低い企業を淘汰し、生産性の高い企業に労働者や賃金を配分する絶好の機会」という考え方については、確かにそうなのかもしれませんが、kurogenkokuは岩田先生同様、あまり良いと思っていません。生産性の低い企業を淘汰する公的施策など国が打てるはずがないですし、そもそも論で行くと小規模事業者の半数近くが自分の代で廃業を検討しているとアンケートで答えているので、無理にそんなことしなくても、アンケート結果や人口ピラミッドを見れば、この先10年くらいで自然と企業の数は減るでしょう。

そもそも論でいうと、生産性の低い企業でも持続的成長を目指していない企業は公的支援策をほとんど活用していないわけで(コロナの時はゼロゼロ融資や持続化給付金を活用しましたが)、もっと踏み込んでしまえば、生活保護をもらっていたほうが生計は楽になるかもしれないが、自分自身の力で何とか家計を養っている事業者も多い。つまり社会保障的にも国に迷惑はかけていない。

こうした方々を目の当たりにしている立場でいえば、どこかのマクロデータだけ眺めて、さもそれらしい論調で軽々しく「淘汰」などという言葉を口にしているのを見ると、わかっていないなぁと思うばかりです。

 

久しぶりに毒を吐き出しましたね。ごめんなさい。。。

【目次】
第1章 デフレ脱却なくして日本経済の再生なし
第2章 デフレはなぜ脅威なのか
第3章 「失われた二十年」の原因とアベノミクス
第4章 金融政策の条件と日銀財務に関する誤解
第5章 財政政策のリフレ・レジームへの転換が必要だ
第6章 成長戦略の基本原則とは


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