歩きながら考える

最近ちょっとお疲れ気味

工場のスローガン(2)

2007-05-10 23:25:13 | 海外ものづくり事情
 「スローガン」という言葉にはなんとなく社会主義の匂いがします。さすが中国はスローガンの本場らしく、役所の前には「為人民奉仕」(人民に奉仕せよ)などでかでかと書かれていますし、工場でも派手な文句が大書されているのをよく見ます(ただし外資系の場合はあまり見ません)。
 写真は3年前に山西省太原市のコークス工場で撮ったものです。「今天工作不努力、明天努力探工作」とあります。そのまま日本語にすると「今日仕事で努力しなければ、明日仕事を探すことを努力せよ。」ですが、こめられている意味は「今日努力しなければクビだ。明日から別の仕事を探すことになるぞ。」ということです。すごいスローガンです。
 派手なスローガン、という外見は社会主義的であっても、それが意味する内容は剥き出しの資本主義そのものです。中国を見て回っていると、この国のどこが社会主義国なのか、という気分になることがしばしばです。

官公庁の調査公募

2007-05-10 20:30:07 | Weblog
 官公庁では政策立案のために様々な調査を行っています。官公庁内部で実施されるものもありますが、人手が不足している、専門知識が必要、といった理由で外部に発注される調査はかなりあります。多くのシンクタンクはこうした調査案件を請け負っており、私もそれを仕事にしている研究員の1人です。
 そんな官公庁の調査には、かつては特定のシンクタンクや専門家に随意契約で発注されるものも少なくなかったのですが、時代は変わって今ではほとんどが公募による企画競争、入札によるものになりました。まあそれは当然でしょう。しかしながら、中には「こんなのが公募されてるの?」と驚いてしまう案件を時々見つけることがあります。外務省のホームページを眺めていたら、こんなのがありました。

「旧日本軍化学兵器等の技術仕様調査」委嘱先選定のための企画競争の実施
http://www.e-procurement.mofa.go.jp/kokuji/0000001092/3300001092.html 

 すごい調査です。シンクタンクは対応できないでしょうし、対応できる専門家もわずかしかいないでしょうに。公募期間が過ぎるとこのページは削除されてしまうので、下に貼り付けておきます。

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「旧日本軍化学兵器等の技術仕様調査」委嘱先選定のための企画競争の実施

1.企画競争を実施する者の氏名並びにその対応する部局の名称及び所在地
支出負担行為担当官
外務省大臣官房会計課長 齋木 尚子
〒100-8919 東京都千代田区霞が関二丁目2番1号

2.企画書競争を実施する事項
(1)調達件名
旧日本軍化学兵器等の技術仕様調査
(2)提出を求める資料
詳細については、説明会にて配布する説明書を参照のこと。

3.説明会の開催
本公示に基づき企画書等提出に関心を有する者に対して説明会を開催する。
説明会への参加を希望する者は、5月18日(金)15時00分までに、下記7.の
問い合わせ先に原則FAX(様式適宜)にて連絡すること。

開催日時:平成19年5月21日(月)14:00~15:00
開催場所:外務省 中央庁舎会議室153号室

4.企画書提出期限
(1)提出期限:平成19年6月11日(月)17時00分(必着)
(2)提出場所:外務省 会計課調達室(担当:藤崎)
(郵送または持参すること)
〒100-8919 東京都千代田区霞が関2-2-1

5.参加資格
(1)予算決算及び会計令(以下「予決令」という。)第70条の規定に該当しない者

あること。なお、未成年者、被保佐人又は被補助人であって、契約締結のために必

な同意を得ている者は、同条中、特別な理由がある場合に該当する。
(2)予決令第71条の規定に該当しない者であること。
(3)外務省所管の物品・役務等調達契約に係る指名停止等の措置要領に基づく指名停

を受けている期間中でないこと。
(4)平成19、20、21年度外務省競争参加資格(全省庁統一資格)に於いて「役

の提供等」の「A」、「B」、「C]、「D]の何れかに格付けされた競争参加資

を有する者で、本件企画競争公示の案件と同程度の役務提供の実績を有することを

明できる者であること。

6.その他
(1)上記4.の締切日時までに適正な全ての資料等の提出が無かった団体・個人は、
本件委嘱先に選考される資格を失うものとする。
(2)資料等提出に伴う費用の一切は、各団体・個人が負担する。
(3)原則として、本件調査のための海外出張に伴う便宜供与は当省では行わない。

7.問い合わせ先
外務省アジア大洋州局中国課(担当:大聖寺)
〒100-8919 東京都千代田区霞が関2-2-1
電話番号:03(3580)3311(内線3915)
FAX :03(5501)8260

以上公示する。

平成19年5月7日
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介護・福祉ロボット実用化の鍵は

2007-05-10 00:36:02 | ものづくり・素形材
 今月の日本貿易振興機構の「ジェトロセンサー」は、台湾系IT企業の拠点戦略を特集しています。中国に集中的に投資を行ってきた台湾系EMSがベトナムやインドに目を向けつつあるのだとか。動きの早い台湾系の動向は、日本企業の投資動向の先行指標ともなるだけに、彼らの動きは気になります。

 ところで、今月号の巻頭記事は「ジェトロセンサー」にしてはちょっと毛色の異なった内容です。「介護・福祉ロボット実用化の鍵は」という題で、30年以上にわたって介護・福祉ロボットの開発に携わってきた千葉工業大学教授の中野英二氏がインタビューに応えています。中野氏は介護・福祉ロボットが普及しない理由として、(1)人間と比べて単機能であり「使いでがない」、(2)介護する側が機械を嫌う、(3)コストパフォーマンスが極端に低い、の3点を挙げています。3番目の問題が現実的にもっとも大きな課題ですが、福祉制度が整ったオランダでは介護現場にロボットを導入する場合、国から全額補助が出るのだそうです。これはちょっと財政的にどうかと思います。
 我が国では介護者が抱き抱えたりするのを手助けする「パワーアシスト」が開発の主流になっているとのことで、さらなる発展とコストダウンによる普及を期待したいところです。そして、やはり介護と福祉は人間的な交流が基本であり、ロボットはあくまでも人を側面から支援する存在であって欲しいと思います。