歩きながら考える

最近ちょっとお疲れ気味

「技術はサイエンスではない」(本田宗一郎)

2006-09-29 18:52:09 | ものづくり・素形材
本田技研でレーシングカーのエンジン設計に活躍された入交さんは、社長であり、天才技術者であった本田宗一郎氏から、ある言葉を聞きます。
本田宗一郎氏は

・サイエンスと社会を繋ぐものが技術である。
・サイエンスの真理は1つしかない。
・しかし、サイエンスと社会をどのようにつなぐか、その道は無数にあるはずだ。
・どの道を見いだすか、そこに技術者の独創性が活かされるのだ。

といった趣旨の話をして、そして冒頭の「技術はサイエンスではない」と語ったのだそうです。この言葉は「絶対忘れられない」と入交さんは言います。
そんな本田宗一郎氏に率いられた本田技研は、新しいこと、他社がやらないことに果敢に挑戦していきます。一介の浜松の町工場に過ぎなかった本田技研が、国際レースに出場し、優勝を目指したということは典型的な例でしょう。このレースで学んだことは大きい、と入交さんは語ります。
レースで学んだこととは、

1) Challenge
これはコメントするまでもないでしょう。特に本田技研は、このチャレンジを重視する会社だと思います。

2) Ready on time
レースはスタートの日時、場所が決っています。このスタートに間にあわなければ、いくら良いものを作っても何の意味もない。

3) Team Work
レースには様々な人々が関わります。ドライバー、メ力二ック工ンジ二ア、設計投術者、監督など。彼らがコミ二ュケーションを円滑に行い、チームワークでレースに臨まなければ勝てない。

4) Flexibility
完璧に準備をしても、必ず本番には何か思いがけないトラブルなどがおこる。そんな時にいかに柔軟に適切な対処ができるかが勝つためには重要である。

5) Winner take all
日本語にすると「勝てば官軍」なのだそうです。レースで負ければ何の意味もない。勝たなければならない。

Honda Americaの社長となった入交さんは、このレースで学んだ哲学を現地での経営に活かします。結果は見事なもので、現地で生産されたホンダ車は、今や完全にアメリ力車としてすっかり現地に根付いています。実に立派な経営哲学だと思います。(続く)