歩きながら考える

最近ちょっとお疲れ気味

「タモリ倶楽部」の現場主義に注目する

2006-09-25 21:16:36 | ものづくり・素形材
「タモリ倶楽部」という金曜深夜のテレビ朝日系の番組をご存じでしょうか。
「貨物時刻表を参考に貨物列車をウォッチング」とか「下仁田ネギを食べながら下ネタで一杯飲む」といった、ゴールデンタイムではまず取り上げられないテーマについて、タモリがゲストのタレントらとクイズを交えながらトークを展開することを基本としています。そしてその合間に、歌詞の一部がおかしな日本語に聞こえる洋楽をオリジナルのビデオクリップで紹介するコーナー「空耳アワー」が挿入される、という実に深夜番組らしい構成で制作されています。20年以上の歴史を有する、深夜番組としては異例の長寿番組で、学生時代の頃から私が見続けている数少ない番組です。タモリの才能が最大限に発揮されている番組である、との評価は多く、私もそれには全く異論はありません。
さて、この「タモリ倶楽部」ですが、大きな特徴として、低予算のためにスタジオを使わず毎回ロケで収録されている点が挙げられます。ですから、例えば前掲の貨物列車の企画はJR貨物の線路脇、下仁田ねぎの企画はどこかの居酒屋で、それぞれロケが行われていたと記憶しています。
また、工場見学ネタも目立ち、訪問先の工場で作業着を着て、その職業の人になりきるという企画が多いのも大きな特徴の一つです。ちなみに先週の放送内容は、「台本が間に合わなかったので「自分で製本しよう!!」」という企画で、製本会社で1からハードカバーの本を作ることを体験する、というものでした。プレス機械や裁断機械が並ぶ製本会社の現場はまさに工場そのもので、改めて印刷製本業界は産業分類上は製造業に位置づけられる、ということを改めて認識させられました。
また素形材関係では、鍛造用金型メーカーの工場に出向き、鏡面研磨加工の技をタモリとゲストのふかわりょうらが競いあう、という企画がありました(2004年8月6日放送)。その模様は、ロケ地となった江北機械製作所のホームページでも紹介されています。
工場ネタは、不器用なボケ役タレントやテレビカメラに慣れない工場の技術者をタモリがいじるなど、基本的には笑いを取る内容ですが、ものづくりの奥深さはしっかりと伝えてくれます。おそらく芸能界広しといえども、タモリこと森田一義氏ほど工場の現場を知っている芸能人はいないのではないでしょうか。笑いだけでなく、ものづくりの奥深さをオールロケという現場主義で伝える(こともある)、「タモリ倶楽部」の放送が今後も続くことを願っています。

 タモリ倶楽部(Wikipedia)
 タモリ倶楽部(ファンサイト)