クニの部屋 -北武蔵の風土記-

郷土作家の歴史ハックツ部屋。

『田舎教師』の主人公の“ふるさと”はどんなところ? ―小俣―

2010年11月25日 | ブンガク部屋
秀三が幼少期に過ごした小俣は、
すぐ目の前に山々がそびえ立つ集落だ。
小俣駅に足を運んでみると、小さな駅だった。
駅員はおらず、自動改札口もない。

ちょうど電車が来て、数える程の人が下りてくるだけだった。
そのローカル感がいい。
ぼくはローカルな駅が大好きだ。

鶏足寺に足を運んでみると、
真っ暗な参道が続いていた。
山門は硬く閉じられ、
暗闇に包まれている。

とても夜に訪ねる場所ではない。
昼間は紅葉が楽しめるらしい。
空気はひんやりしていて、
参道沿いに立つ杉並木は、
ホラーな雰囲気たっぷりかもしれない。

平地に住むぼくとしては、
暗闇に包まれる山々は新鮮だ。
わざわざ暗い山に向かい、
その静けさと闇を楽しみたくなる。
(実際に楽しんだ)

小林秀三は小俣村で、どんな少年時代を過ごしたのだろう。
小林家は小俣村において名家だった。
その自負や誇りはあったに違いない。

しかし、病に倒れ若くして没してしまう。
まさか、小説の主人公のモデルになることなど、
夢にも思わなかっただろう。
青年の魂は、いまも小説の中で生き続けていると言える。

そのことが、秀三にとって良かったのかはわからない。
田山花袋の筆ではなく、
自分の力で名をこの世に残したかっただろうか。
小俣には、秀三の戒名を刻んだ位牌がひっそりと残っている。



小俣駅(栃木県足利市)



同上



羽生市民プラザ(埼玉県羽生市中央3丁目)
同館2階には「田舎教師」ふるさと資料室がある

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